中学受験の算数ではいろんな文章問題が出題されますが、その中で代表的な問題の一つが『仕事算』です。
時間の面倒な単位換算に加え、問題が抽象的でどのように解けばいいのかわかりにくいというのが厄介な点です。
しかしどんなパターンの問題が出されても、重要なポイントはほとんど変わりません。要点さえ抑えておけば自然と解法を導けるはずです。
今回は仕事算の具体的な解き方に加えて、絶対に抑えておくべきポイントについて詳しく図で解説していきます。
目次
仕事算とは
仕事算は複数人で仕事をする場合にかかる時間を求める問題です。
代表的な例としては、仕事を処理するスピードが異なる複数人が協力して1つの仕事をするときにかかる時間を求める問題。
シンプルな仕事算の例1
ある作業を終えるのにAなら6時間、Bなら4時間かかる場合、AとBが一緒に行うとどれだけの時間で終えられるか。
シンプルな仕事算の例2
ある作業を終えるのにAなら6時間、Bなら4時間かかる。Aが2時間だけ作業をして残りはBがする場合、Bはどれだけの時間がかかるか。
考え方としては、旅人算の一種の“出会い算”と同様です。
出会い算とは、離れた距離にいる2人がお互いに歩いて出会うまでの時間を求める問題。「離れた距離を歩く」というのを仕事に置き換えたものが仕事算です。
出会い算の例
\(1000m\)離れた場所にいるAさんとBさんはそれぞれお互いに分速\(150m\)、分速\(100m\)で歩いた時、何分後に出会うか。
詳しくは以前解説したので、こちらをどうぞ。
ただし出会い算は具体的に速さや道のりが数値として与えられるのですが、仕事算は全体の仕事量が与えられません。抽象的でイメージしにくいというのが仕事算の難点です。
なので、仕事量を分かりやすく定義するというのが仕事算を解く上での一番のポイントとして挙げられます。
他には複数の管で水そうを水で満たす“水そう算”も仕事算の代表的な問題です。
水そう算
ある水そうを水で満たすのに40分かかるA管と1時間20分かかるB管がある。空の水そうにはじめA管とB管の両方を用いて10分間水を入れた後、A管だけを用いて水そうを満たした。A管だけで水を入れ始めてから水を満たすのに何分かかったか求めよ。
また仕事算はつるかめ算との複合的な問題も出しやすく、様々なパターンが考えれます。
では具体的に仕事算の解き方を見ていきましょう。
仕事算の3つの解き方
例にも示したこの問題を解いていきます。
ある作業を終えるのにAなら6時間、Bなら4時間かかる場合、AとBが一緒に行うとどれだけの時間で終えられるか。
解き方はいろいろありますが、いずれにしてもまず行うのが仕事量を定義することです。
【解法1】全体の仕事量をそれぞれの「最小公倍数」で定義する
AとBの仕事完了時間はそれぞれ6時間と4時間。これらの数字の最小公倍数は12なので、全体の仕事量を「12」と定めます。
これでもまだ抽象的なので、より具体的に「12枚の書類作成」や「12個の商品製作」「12部屋の清掃」などと考えるとイメージしやすいでしょう。
仕事量を定義することで「単位時間あたりの仕事量」が定まります。
- A:1時間あたり2枚の書類作成(12枚の書類作成が6時間で終わる)
- B:1時間あたり3枚の書類作成(12枚の書類作成が4時間で終わる)
- A+B:1時間あたり5枚の書類作成
全体の仕事量を最小公倍数にするのは、これらの値が整数になるためです。
ここまでくれば「1時間で5枚の書類が作成できる場合、12枚作成するのにどれくらい時間がかかるか」という問題を考えればいいだけです。
\(12÷5=2.4\)(時間)
小数点以下の0.4を「分」になおすと、\(0.4×60=24\)(分)
つまり、2時間24分が答えです。
【解法2】全体の仕事量を「1」と定義する
全体の仕事量を1と考えて問題を解くこともできます。
その場合のそれぞれの単位時間あたりの仕事量は以下の通り。
- A:1時間あたり1/6
- B:1時間あたり1/4
- A+B:1時間あたり1/6+1/4=5/12
つまり、「1時間で全体の\(\dfrac{5}{12}\)の仕事ができる場合、仕事を終えるのにどれくらい時間がかかるか」という問題を考えればいいわけです。
\(1÷\dfrac{5}{12}=\dfrac{12}{5}=2.4\)(時間)
このように2時間24分が計算できます。
【解法3】1人の単位時間あたりの仕事量を「1」で定義する
次はAまたはBの単位時間あたりの仕事量を1と定義します。ここではAの単位時間あたりの仕事量を1とし、「1枚の書類作成」と考えましょう。
すると全体の仕事量は「6枚の書類作成」となります。
それぞれの単位時間あたりの仕事量はこのようになります。
- A:1時間あたり1枚の書類作成
- B:1時間あたり6/4=1.5枚の書類作成
- A+B:1時間あたり2.5枚の書類作成
つまり、「1時間で2.5枚の書類が作成できる場合、6の書類を作成し終えるのにどれくらい時間がかかるか」という問題を考えればいいわけです。
\(6÷2.5=2.4\)(時間)
このように2時間24分が計算できます。
仕事算のポイント
仕事算の解き方はいろいろあるものの、基本的な手順やポイントはどれも同じです。
- 「全体の仕事量」の定義する
- 定義した仕事量からそれぞれの「単位時間あたりの仕事量」を求める
解法3のように「単位時間あたりの仕事量」をはじめに定義することもありますが、それも全体の仕事量を定義する前段階です。どのように全体の仕事量を定義するかが一番のポイントになります。
問題によってどのように解くのが最適なのかというのは異なるので、一応いずれの方法でも解けるようにしておくのがよいでしょう。
ただ、基本的には【解法1】の最小公倍数で定義するのがイメージしやすく楽なので、この解き方をオススメします。
ではもう少し問題を解いてみましょう。
仕事算の練習問題
問題1
ある作業を終えるのにAなら6時間、Bなら4時間かかる。Aが2時間だけ作業をして残りはBがする場合、Bはどれだけの時間がかかるか。
例題と同様、全体の仕事量を「12枚の書類作成」と定義すると、短時間あたりの仕事量は次の通り。
- A:1時間あたり2枚の書類を作成
- B:1時間あたり3枚の書類を作成
全体の12枚の書類の内、Aの2時間の働きで2×2=4枚の書類が完成したので、残りは8枚。
つまり、「1時間あたり3枚の書類が作成できる場合、8枚作成するのにどれくらい時間がかかるか」という問題を考えればいいわけです。
\(8÷3=2\dfrac{2}{3}\)時間。
\(\dfrac{2}{3}\)時間を「分」になおすと、\(\dfrac{2}{3}×60=40\)(分)となり、2時間40分が答えです。
問題2
3人で8日かかる仕事がある。これを4人で3日して、残りは2人で済ませた。残りの仕事はどれくらいの時間がかかったか求めよ。
人によって単位時間あたりの仕事量が変わらないという少し変則的な問題です。
この場合は最小公倍数で仕事量を定義できないので、解法2、または解法3で解く必要があります。
解法2はややこしい分数の値を扱わないといけないので、解法3で解くのが望ましいです。
単位時間あたりの仕事量を1としますが、ここでは1人が1日でこなす仕事量を指します。
「1人が1日で作成できる書類が1枚」と定義すると、3人が8日で作成する書類の枚数は\(3×8=24\)枚となり、これが全体の仕事量です。
4人が3日で作成する書類の枚数は\(4×3=12\)枚なので、残りは\(24-12=12\)枚。2人だと1日で2枚書類ができるので、「1日2枚の書類が作成できる場合、12枚の書類を作成するのに何日かかるか」という問題になります。
\(12÷2=6\)となり、答えは6日間です。
このように仕事算はいろんなパターンの問題が出されます。ただ、どの問題でも重要なのは「全体の仕事量」の定義と「単位時間あたりの仕事量」に着目することです。
自由に定義して構わないので、どのように定義すると問題が解きやすいのかを常に考えて、問題合わせて最適な解き方ができるようになるのを目指しましょう。
ちなみに、仕事算について自由に印刷できる練習問題を用意しました。数値はランダムで変わり無数に問題を作ることができるので、ぜひご活用ください。
すごく分かりやすかったです。
とてもわかりやすかったです☆
わかりやすかったです
ありがとうございます!((★´∪`))∩’`ィ
助かりました。
本当に助かりました~(;~;)/
有難う御座いましたm(_ _)mペコリ
すごくわかりやすくて助かりましたありがとうございます
わかりやすいですね
わかりやすい
図があってめちゃわかりやすいです。
塾でやったけど忘れたときに復習してみたら案外記憶に入りました