小学校算数

「倍数算」の解き方とポイント|3つのパターンを数直線で解説

中学受験では「割合」や「比」に関していろんな文章問題が出題されますが、そのひとつとして『倍数算』が挙げられます。

数量関係をしっかり抑えた上で数直線などを使いこなして解く問題です。ただし、とてもややこしい問題なので解き方を知らないと大抵の子は苦戦すると思います。

ということで、中学受験に臨むなら倍数算の解き方をしっかり抑えておきましょう。

倍数算とは

倍数算とは2つの異なる数量があり、やり取りのあとの数量関係からそれぞれの数量を求める問題です。

具体的には以下のような問題。

倍数算の例題1
A君とB君の所持金の比は5:4だったが、A君がB君に400円あげたら二人の所持金の比は1:2になった。A君の最初の所持金を求めよ。

このように2つの数量が比で与えられるだけでなく、「2倍」や「\(\dfrac{1}{4}\)」などの割合で与えられることもあります。

他にもやり取りによってバリエーションがあり、それぞれ解き方が異なるのが倍数算の厄介なところです。

二つの数量が同じ値の変化をする問題。

倍数算の例題2
A君とB君の所持金の比は3:2だったが、二人がそれぞれ200円使ったら二人の所持金の比は7:4になった。A君の最初の所持金を求めよ。

二つの数量が異なる変化をする問題。

倍数算の例題3
A君とB君の所持金の比は4:3だったが、A君が200円使いB君が100円もらったら二人の所持金の比は1:2になった。A君の最初の所持金を求めよ。

代表的なのがこれら3つのパターンです。

ではこれらの解き方を解説していきます。

倍数算の解き方

例題1(前後の数量の和が一定)

倍数算の例題
A君とB君の所持金の比は5:4だったが、A君がB君に400円あげたら二人の所持金の比は1:2になった。A君の最初の所持金を求めよ。

A君とB君の所持金の和は変わらないので、ふたりの所持金の和を1本の数直線として、それぞれのやりとりの前後の比率を以下のように表すことができます。

やりとりの前ではA君とB君の所持金の比率は「5:4」で、A君の所持金が400円減ってB君の所持金が400円増えると「1:2」の比率になることを表しています。

注意点として、やり取りの前後で比の割合が異なります。上の比率の「1」は全体の\(\dfrac{1}{9}\)で、下の比率の「1」は全体の\(\dfrac{1}{3}\)にあたるということです。

A君は最初は全体の\(\dfrac{5}{9}\)であるのに対し、後の値は全体の\(\dfrac{1}{3}\)です。

この分母を揃えるために、前後の比の和を揃えます。

通分と同じ要領で、比の和である「9」と「3」の最小公倍数「9」で揃えましょう。

このようにすると上下で「1」にあたるのが全体の\(\dfrac{1}{9}\)に統一されます。

前後でA君は「2」増えてB君は「2」減っています。これが400円に当たるので、比率の「1」は400÷2=200より、200円です。

A君の所持金はこの比でいうところの「5」なので、200×5=1000より、答えは1000円です。

確認のため最初の所持金がA君1000円、B君800円で比は5:4。A君がB君に400円渡すとA君600円、B君が1200円で比は1:2。問題文に合致するのが確認できますね。

例題2(前後の数量の差が一定)

倍数算の例題2
A君とB君の所持金の比は3:2だったが、二人がそれぞれ200円使ったら二人の所持金の比は7:4になった。A君の最初の所持金を求めよ。

A君とB君のはじめの所持金とふたりの所持金の差を数直線で表すと以下のようになります。

「ともに200円使ったら7:4になった」という情報を追加します。A君とB君との比の差は3です。

この問題でも前後のやり取りで比の割合が異なるので揃える必要があります。

ここで注目するのが、A君とB君の所持金の『比の差』です。ふたりが使う金額は同じなので、所持金の差は変わらないはずです。

この値を揃えればやりとりの前後の比の割合も揃います。

「1」と「3」の最小公倍数「3」に揃えたらこのようになります。

こうすると数直線の上下の比の値が揃うので、A君もB君も「2」にあたる金額を使ったことが分かります。

200円が「2」にあたるので、この比で「1」にあたるのは200÷2=100より100円。A君の最初の所持金の比は「9」なので100×9=900より900円が答えです。

確認のため最初の所持金がA君900円、B君600円で比は3:2。ふたりとも200円使うとA君700円、B君が400円で比は7:4。問題文に合致するのが確認できますね。

 

さて以上2問のポイントをまとめましょう。

はじめの問題は2つの数量の“和”が一定の問題で、2つの数量の比の“和”を揃えました。

次の問題では2つの数量の“差”が一定の問題で、2つの数量の比の“差”を揃えました。

比の割合が異なる場合でも、数値が一定のものの比を揃えることで比の割合を揃えることができるのです。

複数の比が出てくる場合、同じ数値の比を揃える

この考え方は倍数算において非常に重要なので必ず抑えましょう。

ただし倍数算にはやりとりで2つの数量の和も差も変化する問題が出題されます。そういう問題の解き方もしっかり抑えましょう。

例題3(前後の数量の差が一定)

倍数算の例題3
A君とB君の所持金の比は4:3だったが、A君が200円使いB君が100円もらったら二人の所持金の比は1:2になった。A君の最初の所持金を求めよ。

A君とB君のはじめの所持金を数直線で表すと以下のようになります。

「A君が200円使いB君が100円もらったら比が1:2になった」という情報を追加します。

ここでは「やりとりの後の値段」を揃えます。やりとりの後のA君の所持金を2倍したらB君と同じ金額になるはずです。数直線で表すとこの通り。

この数直線から問題をこのように変換することができます。

『A君とB君のはじめの所持金が8:3、A君が400円使いB君が100円もらったら同じ金額になる

数直線からわかると思いますが、このときの比の差の「5」(=8-3)がやりとりした金額の合計500円にあたります。

つまりこの比の「1」は500÷5=100より100円です。A君のはじめの所持金はこの比の「4」にあたるので、100×4=400より答えは400円です

確認のため最初の所持金がA君400円、B君300円で比は4:3。A君が200円使いB君が100円もらったらA君200円、B君が400円で比は1:2。問題文に合致するのが確認できますね。

 

こういった問題では同じ数量のものがないので、前2つの問題のように比を揃えることができません。なので、実際の値を揃えるのがポイントになります。

比率が揃えられない場合は実際の数量を揃える

倍数算は初めて見る場合どうやって解いたら分からないのが普通なので、しっかり解き方を抑えて慣れるのが大事です。

ちなみに倍数算について、自由に印刷できる練習問題を用意しました。数値はランダムで変わり無数に問題を作ることができるので、ぜひご活用ください。

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