2次方程式にはいろんな解き方があり、問題によって使い分ける必要があります。
中学校数学で習う方法としては主に4つ。
- 因数分解
- 平方根
- 平方完成
- 解の公式
今回は因数分解を用いた2次方程式の解き方を解説していきます。
因数分解を理解した前提の内容となるので、自信がない場合はこちらを御覧ください。
目次
2次方程式の解き方は1次方程式とは異なる
2次方程式を解くということは、
- \(x^2-25=0\)
- \(x^2=6x\)
- \(x^2+4x=-4\)
- \(3x^2+6x=24\)
これら、\(x^2\)が含まれる方程式について、等式が成り立つ\(x\)の値をすべて求めるということです。
注意すべきなのは、2次方程式は1次方程式のようには解けないということです。
1次方程式の場合、両辺に同じ数を足したり掛けたり割ったりして、「\(x=○\)」の形に変形していました。
しかし2次方程式の場合、\(x^2\)の項が含まれるため、基本的に「\(x=○\)」の形に変形することはできません。
因数分解を用いた2次方程式の解き方
では実際に解き方について解説します。
因数分解を利用して解く場合、以下の手順で解きます。
- 変形して右辺を0にする
- 因数分解をして「AB=0」の形にする※A、Bはそれぞれ\(x\)の1次式
- A=0、またはB=0となるxが2次方程式の解となる
これだけだと分かりにくいので、実際にこの手順に沿って例題を解いてみましょう。
例題1)\(x^2-25=0\)
すでに右辺が0なので、手順②からです。
因数分解をして\(x\)の1次式の積の形にします。
\(x^2-25=0\)
\((x+5)(x-5)=0\)
乗法公式の1つ、和と差の公式を利用した因数分解です。
\((x+5)(x-5)=0\)という等式が成り立つには、左辺の2つに注目して「\(x+5=0\)」または「\(x-5=0\)」となればいいのがわかるかと思います。
これがこの手順の③に当たります。
変形すればそれぞれ「\(x=-5\)」「\(x=5\)」となります。
よって解は\(x=\pm5\)となります。
ちなみに今回のように「\(x\)の1次の項」が含まれていない場合、\(x^2=25\)と変形し、右辺の平方根を考えて\(x=\pm5\)と解を求める方法でも構いません。
例題2)\(x^2=6x\)
まず手順①に従い、右辺を0にします。
\(x^2=6x\)
\(x^2-6x=0\)
手順②より、因数分解します。共通因数である\(x\)でくくりましょう。
\(x(x-6)=0\)
手順③。「\(x=0\)」、または「\(x-6=0\)」のときに等式は成り立つので、解は\(x=0,6\)となります。
よくある間違いとして、\(x^2=6x\)を両辺を\(x\)で割って\(x=6\)としてしまいがちです。
たしかに等式は両辺を同じ数で割ることはできます。
しかし、それよりも数学において絶対的なルールがあります。
「数(式)を0で割ることはできない」ということです。
\(x\)は0かもしれないので、両辺を\(x\)で割ることはできないのです。
今回のように式を\(x\)などの文字で割りたくなる状況はこの先もよくでてきます。
しかし、いかなる時もその文字が絶対に0ではないことを確認しないといけないのです。
ちなみに、なぜ数字を0で割れないのかはこちらでかんたんに説明しています。
例題3)\(x^2+4x=-4\)
まず手順①に従い、右辺を0にします。
\(x^2+4x=-4\)
\(x^2+4x+4=0\)
手順②より、因数分解します。
\((x+2)^2=0\)
乗法公式の1つ、平方の公式を利用した因数分解です。
手順③。「\(x+2=0\)」のときに等式は成り立つので、解は\(x=-2\)となります。
例題4)\(3x^2+6x=24\)
まず手順①に従い、右辺を0にします。
\(3x^2+6x=24\)
\(3x^2+6x-24=0\)
左辺の全ての項は3で割り切れるので割ったら簡単な形になります。
\(x^2+2x-8=0\)
手順②より、因数分解します。
\((x+4)(x-2)=0\)
乗法公式の基本形を利用した因数分解です。
手順③。「\(x+4=0\)」、または「\(x-2=0\)」のときにときに等式は成り立つので、解は\(x=-4,2\)となります。
練習問題
因数分解を利用した2次方程式の練習問題を用意しました。ぜひ挑戦してみてください。
あとがき
以上、因数分解を利用した2次方程式の解き方でした。
今回のように「\(x(x+○)=0\)」や「\((x+○)(x+△)=0\)」というようにきれいに因数分解できる場合はこの方法で解くことができます。
ただし、2次方程式の中にはきれいに因数分解できない場合もあります。その場合は平方完成や解の公式などを使う必要があるのです。