中学校数学

乗法公式(多項式の展開公式)の覚え方と使い方

中学校3年生では乗法公式(多項式の展開公式)を習います。これは簡単な『(一次の多項式)×(一次の多項式)』を瞬時に計算するための公式です。

たとえば、
\((x+3)(x+2)\)、\((x+5)^{2}\)、\((x-2)^2\)、\((x+6)(x-6)\)
などを簡単に展開することができます。

今回は乗法公式の覚え方や使い方などをわかりやすく解説していきます。

4つの乗法公式

まず確認ですが、「\(x\)の一次式」同士をかければ「\(x^{2}\)の項」、「\(x\)の項」、「定数項」に展開されます。そして重要なのはそれぞれの係数・定数です。

以上を踏まえた上で、4つの乗法公式をご覧ください。
(スマホの場合、左右にスクロールできます)

  1. \((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)
    • \((x+1)(x+2)=x^{2}+3x+2\)
    • \((x+2)(x-3)=x^{2}-x-6\)
  2. \((x+a)^{2}=x^{2}+2ax+a^{2}\)
    • \((x+1)^2=x^{2}+2x+1\)
    • \((x+2)^2=x^{2}+4x+4\)
  3. \((x-a)^{2}=x^{2}-2ax+a^{2}\)
    • \((x-1)^2=x^{2}-2x+1\)
    • \((x-2)^2=x^{2}-4x+4\)
  4. \((x+a)(x-a)=x^{2}-a^{2}\)
    • \((x+1)(x-1)=x^{2}-1\)
    • \((x+2)(x-2)=x^{2}-4\)

乗法公式は、それぞれの係数・定数項を瞬時に求めるための公式です。

いずれも普通に展開して右辺を導けますが、公式に慣れたら機械的に求めることができます。

xの係数はすべて1であることに注意しましょう。

たとえば
\((2x+1)(3x+2)\)
というようにxの係数が1以外の場合は普通に分配法則で計算します。

\((2x+1)(3x+2)=6x^{2}+4x+3x+2=6x^{2}+7x+2\)

ではそれぞれの公式の覚え方や導出などを見ていきましょう。

乗法公式1

左辺の定数項が異なる場合の公式です。\((a≠b)\)

乗法公式の最も基本的な形で、この式から他の公式も導けるので、まずはこの形を覚えましょう。

具体例

この公式を用いて「\((x+1)(x+2)\)」を展開すると以下の通り。

展開した式の\(x\)の係数は「左辺の定数項の和」なので「+1」と「+2」の和の『3』、定数項は「左辺の定数項の積」となるので「+1」と「+2」の積の『2』になります。

「\((x+2)(x-3)=x^{2}-x-6\)」を展開すると以下の通り。

 

展開した式の\(x\)の係数は「左辺の定数項の和」なので「+2」と「-3」の和の『-1』、定数項は「左辺の定数項の積」となるので「+2」と「-3」の積の『-6』になります。

証明

乗法公式がなぜこのような形になるのか、それを証明するのは実際に展開すればいいだけです。

分配法則を使って丁寧に展開していけば上のようになります。

前の一次式\((x+a)\)を後ろの一次式の\(「x」\)と\(「+b」\)にそれぞれかけ、さらに分配法則で展開し、最後に同類項をまとめたら、

\(x^{2}+(a+b)x+ab\)

となります。

乗法公式2、3(平方の公式)

2番目・3番目の乗法公式は最初の乗法公式の定数項が等しい場合なので、\((x+a)(x+b)\)の公式において、\((a=b)\)とすればこの公式になります。

2番目と3番目の式の違いは、\(x\)の係数の正負だけです。

具体例

この公式を用いて「\((x+3)^{2}\)」を展開すると以下の通り。

展開した式の\(x\)の係数は「左辺の定数項の2倍」なので「+3」の2倍の『6』、定数項は「左辺の定数項の2乗」となるので「+3」の2乗の『9』になります。

 

「\((x-4)^{2}\)」を展開すると以下の通り。

展開した式の\(x\)の係数は「左辺の定数項の2倍」なので「-4」の2倍の『-8』、定数項は「左辺の定数項の2乗」となるので「-4」の2乗の『16』になります。

証明

この公式も証明するには実際に展開すればいいだけです。

乗法公式1と同じ手順ですが、分配法則を使って丁寧に展開していけば上のようになります。

前の一次式\((x+a)\)を後ろの一次式の\(「x」\)と\(「+a」\)にそれぞれかけ、さらに分配法則で展開し、最後に同類項をまとめたら、

\(x^{2}+2ax+ab\)

となります。

\((x-a)^{2}\)も同じように展開したらこのようになります。

乗法公式4(和と差の公式)

掛け合わせる1次式の定数項が、符号が異なるだけの場合、展開すると\(x^{2}\)の項と定数項だけになります。

1番目の乗法公式において、\(b\)を\(-a\)で置き換えたらxの係数(a+b)が消えてこのような形になります。

\((x+a)(x+b)=x^{2}+(a+b)x+ab\)

\((x+a)(x-a)=x^{2}+(a-a)x-a^{2}\)
\(=x^{2}-a^{2}\)

具体例

この公式を用いて「\((x+3)(x-3)\)」を展開すると以下の通り。

証明

この公式も証明するには実際に展開すればいいだけです。

 

「展開公式をなかなか覚えられない」という人も多いと思いますが、はじめは無理に覚える必要はありません。

普通に展開してもそこまで時間はかかりませんし、問題を解いていくうちに自然と身につくからです。

むしろ公式をど忘れしたときのためにも、自力で展開して公式を導けるようにしておくことの方が大事なのです。

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