掛け算の場合、数字に\(0\)をかけても\(0\)に数字をかけても答えは\(0\)になります。割り算の場合でも\(0\)は何で割っても\(0\)です。
これらと同じように「数字を\(0\)で割ると答えは\(0\)になる」と考えがち。
しかしなにかを\(0\)で割る問題が出題されれば、その答えは「計算不可能」というのが答えになります。(出題されることはないと思いますが)
これは大人でも間違える人は珍しくありません。
今回は『なぜ数字を0で割ることができないのか』ということを小学生に教えるのを想定して簡単に説明していきます。
0で割る問題は出題されない
最初に言っておくと、「\(3÷0\)」のように数字を0で割る問題というのはテストや受験などで出題されることは絶対にありません。小学校算数だけでなく、これは中学校数学でも高校数学でも同様です。
\(0\)で割るという行為自体、数の世界ではご法度なので、もしも問題として出題されるならそれは問題が間違っているのです。
ただ高校数学になると分数の分母が\(0\)にならないという性質を用いて問題を解いたりすることが頻繁にあります。
逆にいえば、それまではテストや受験においてこのことは重要ではないので、理解できなくても神経質になる必要はないということです。
最悪、「そういう性質がある」ということだけ教えるだけでも構いません。
なぜ0で割るのはいけないのか?
では本題に入ります。なぜ数字を\(0\)で割るのはいけないのか。
その理由を2つの方法で説明します。
掛け算に変換してみる
割り算は『乗法(掛け算)の逆演算』と定義されています。
たとえば「\(○÷□=△\)」という割り算は「\(○=□×△\)」という掛け算の逆演算ということ。
\(6÷3=2⇔6=3×2\)
となるように、「\(○÷□=△\)」の答えは「\(○=□×△\)」で求められるということです。
つまり「\(5÷0=△\)」という問題は「\(5=0×△\)」の△を求める問題と同義です。しかし\(0\)に何をかけても\(5\)になることはありません。必ず\(0\)になります。
つまり問題として成立しないということです。
具体例で見てみる
式の中ではいまいちイメージしにくいので具体的な例で見てみましょう。
\(6\)個の飴を\(3\)人で分ければ一人あたり\(2\)個、\(2\)人で分ければ\(3\)個、\(1\)人なら\(6\)個です。では\(0\)人に分けるなら一人あたりの個数は何個になるでしょうか?
こういう問題を出題したら「意味がわからない」となるでしょう。
0人に分けるというのは不可能ですし、「0人に分けたときの一人あたりの個数」という日本語も理解できません。
0で割るというのは『問題自体が破綻している』というのが正しいのです。