前回、解の公式の使い方について解説しましたが、今回は2次方程式の解の公式の導出の仕方について解説していきます。
解の公式は少し複雑な形ですが、なぜあの公式で2次方程式の解が求められるのかが理解できるようになるでしょう。
また、導出の方法さえわかっていれば、いざ解の公式をど忘れしたときでも安心です。
通常の解の公式
2次方程式は、因数分解や平方完成など、基本的には式変形によって解を求めます。
それに対し解の公式は、各項の係数を代入するだけで解を求めることができる公式です。
この公式は平方完成によって導くことができます。
ちなみに、平方完成を利用した2次方程式の解き方は次の通り。
\(x^2\)の項と\(x\)の項を、\((x+◯)^2\)と定数に置き換えることで、最終的に平方根の問題にすることを平方完成と言います。
複雑な計算ですが、ここまで前提としての話なので、ここまでで少し自信がない場合は以下をご覧ください。
さて、この解き方を\(ax^2+bx+c=0\)に適応すると解の公式が導けます。
ちなみに\(a,b,c\)はそれぞれ0以外の整数です。
では導出にはいります。
公式の導出
\(ax^2+bx+c=0\)の解が\(x=\dfrac{-b\pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}\)であることを導きます。
まず\(x^2\)の係数を1にするために\(a\)で割ります。
これを\((x+◯)^2=■^2\)の形にします。
\(x\)の係数の\(\dfrac{1}{2}\)が◯にあたるので、この場合、\(\dfrac{b}{2a}\)です。
これを乗法公式に当てはめて等式を導き、代入、定数の整理をすると次のようになります。
ここまでの手順が平方完成です。
文字ばかりでややこしいですが、やっていることは先程例で示した\(2x^2+3x-3=0\)と全く同じです。
実際に上の式に\(a=2,b=3,c=-3\)を代入すると同じような数式の変化になることが確認できるはずです。
さて、あとは平方根の問題なので、両辺の平方根をとりましょう。
さらに左辺の定数を右辺に移項し、分母の有理化、整理をしたら解の公式になります。
平方根の問題を解くだけでも文字だらけなので、厄介に感じると思います。
ただ、これもやっていることは\(2x^2+3x-3=0\)と全く同じです。
実際に\(a=2,b=3,c=-3\)を代入すると同じような数式の変化になることが確認できるはずです。
特殊な解の公式
2次方程式の\(x\)の係数が偶数の場合、少し簡単な解き方があります。
次のような解の公式を使った解き方です。
\(x\)の係数が偶数の場合、必ずルートの処理や約分が生じますが、その手間を減らすことができます。
次はこの公式を導出し、なぜこれが解が求められるのかを見ていきましょう。
公式の導出
通常の解の公式から、特殊な解の公式を導きます。
\(x\)の係数\(b\)が偶数の場合に特殊な解の公式が適応できるので、\(b=2b’\)として解の公式に代入して整理します。
このように、通常の解の公式が特殊な解の公式になります。
左の解の公式の\(b\)の\(\dfrac{1}{2}\)の値を右のb’に入れたら等しくなるということです。
以上が特殊な解の公式の導出です。
まだよくわからないという場合は、具体的な数字で考えてみたらよりわかりやすいと思います。
\(b=6\)としたら、\(b’\)はその\(\dfrac{1}{2}\)なので\(b’=3\)です。
通常の解の公式に6を入れた値と、特殊な解の公式に3を入れた値が等しくなるということです。
以上、2つの2次方程式の解の公式の導出について解説していきました。
2次方程式の解の公式は、利用するのは値を代入するだけなので簡単です。(計算は面倒なことが多いですが)
しかし、解の公式を導出するのは少し難しいと感じる人は多いと思います。それでも導出方法を理解しておくだけでも2次方程式の理解が深まりますし、計算力もつくので、自分で導出できるようにしておくことをおすすめします。