前回、連立方程式の2つの解き方(代入法・加減法)について解説しました。
今回は連立方程式の文章問題の解き方について解説していきます。
文字の置き換えや方程式の立て方などいくつかつまずきやすいポイントがありますが、ひとつひとつ抑えていきましょう。
目次
連立方程式の文章問題のポイント
連立方程式の文章問題を解く流れは、一次方程式の文章問題と変わりません。
具体的には以下の通り。
- 未知の値の2つを文字に置き換える
- 等しい関係のものに着目して文字を使って2つの方程式を立てる
- 立てた連立方程式を解く
では具体的な例で見ていきましょう。
例題
1個120円のりんごと1個70円のみかんを合わせて14個買うと1380円の値段になった。購入したりんごとみかんの個数をそれぞれ求めよ。

これは「鶴亀算」と言われる問題です。小学校算数では面積図や図表などを利用して解き、中学1年では一次方程式で解きます。
しかし実は連立方程式を使うとより簡単に解くことができるのです。
1.未知の値の2つを文字に置き換える
まず何を文字に置き換えるかですが、基本的に問われているものを文字として置くのが良い場合が多いです。
今回の場合は問われているのはりんごとみかんの個数なので、りんごの個数を\(x\)個、みかんの個数を\(y\)個とします。

2.等しい関係のものに着目して文字を使って2つの方程式を立てる
問題文ではりんごとみかんの個数と金額についてそれぞれ「合わせて14個」「合計金額1380円」という情報が与えられているので、これらについて関係式を立てましょう。
- りんご\(x\)個とみかん\(y\)個を合わせて14個:\(x+y=14\)
- 120円のりんご\(x\)個と70円のみかん\(y\)個で1380円:\(120x+70y=1380\)

つまり連立方程式はこのようになります。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y=14・・・① \\ 120x+70y=1380・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
3.連立方程式を解く
加減法で解きましょう。
①×70より
\(70x+70y=980\)
②からこれを引いて\(y\)を消去します。
\(\begin{eqnarray} &120x&+70y&=&1380 \\ -) & 70x&+70y&=&980 \\ \hline
&50x&&=&400 \end{eqnarray}\)
\(x=8\)
①に代入して\(y\)について解くと、
\(y=6\)
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x=8 \\ y=6 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
よってりんご8個、みかん6個というのが答えです。
基本的にはどのような問題でも以上の手順で解いていきます。さらにいくつかのパターンの問題を見ていきましょう。
連立方程式の文章問題の解き方
問題1(和差算)
A君が持っているお金はB君よりも1200円少なく、さらに2人の所持金を合わせると4400円だった。A君とB君の所持金はそれぞれいくらか。
A君とB君の所持金をそれぞれ\(x\)円、\(y\)円とすると次のように連立方程式を立てることができます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x=y-1200・・・① \\ x+y=4400・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
「\(x=\)」の形なので代入法で解きましょう。
①を②に代入して解くと次のようになります。
\((y-1200)+y=4400\)
\(2y=5600\)
\(y=2800\)
①に代入すると、
\(x=1600\)
よってA君の所持金は1600円、B君の所持金は2800円。
ちなみにこのように複数の未知数の和と差の情報が与えられた文章問題は『和差算』と言い、小学校算数では線分図などを利用して解きます。

問題2(消去算)
りんご5個とみかん3個を買うと840円、りんご3個とみかん2個買うと520円だった。りんごとみかんの値段はそれぞれいくらか。
りんご、みかんの値段をそれぞれ\(x\)円、\(y\)円とすると次のように連立方程式を立てることができます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x+3y=840・・・① \\ 3x+2y=520・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
加減法で解きましょう。
①×2より
\(10x+6y=1680\)
②×3より
\(9x+6y=1560\)
これを引いて\(y\)を消去します。
\(\begin{eqnarray} &10x&+6y&=&1680 \\ -) & 9x&+6y&=&1560 \\ \hline
&x&&=&120 \end{eqnarray}\)
\(x=120\)
②に代入して\(y\)について解くと、
\(360+2y=520\)
\(2y=160\)
\(y=80\)
よってりんごの値段は120円、みかんの値段は80円。
ちなみにこのような文章問題は『消去算』と言い、小学校算数では図表などを利用して解きます。

問題3(過不足算)
ある人数で居酒屋で食事をした。そのときの代金は、1人2100円ずつ払うと2900円足りず、2500円ずつ払うと500円足りない。食事をした人数と代金を求めよ。
人数を\(x\)人、代金を\(y\)円とすると次のように連立方程式を立てることができます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y-2100x=2900・・・① \\ y-2500x=500・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
加減法で解きましょう。
\(\begin{eqnarray} y&-2100x&&=&2900 \\ -) y&-2500x&&=&500 \\ \hline
&400x&&=&2400 \end{eqnarray}\)
\(x=6\)
①に代入して\(y\)について解くと、
\(y-12600=2900\)
\(y=15500\)
よって人数6人、代金15500円。
ちなみにこのような文章問題は『過不足算』と言い、小学校算数では図表などを利用して解きます。

問題4(速さの問題)
20kmの道のりを移動するのに、時速10kmで走ったあと時速4kmで歩いたら3時間かかった。走った時間、歩いた時間はそれぞれ何分ずつか求めよ。
走った時間を\(x\)分、歩いた時間を\(y\)分として、「合計3時間(180分)移動した」ことと「20km移動した」ことについて連立方程式を立てることができます。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+y=180・・・① \\ \dfrac{10x}{60}+\dfrac{4y}{60}=20・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
※時速10kmは分速\(\dfrac{10}{60}\)kmなので、\(x\)分で\(\dfrac{10x}{60}\)km移動する
加減法で解きましょう。
①×4より
\(4x+4y=720\)
②×60より
\(10x+4y=1200\)
\(y\)を消去します。
\(\begin{eqnarray} &4x&+4y&=&720 \\ -) & 10x&+4y&=&1200 \\ \hline
&-6x&&=&-480 \end{eqnarray}\)
\(x=80\)
\(x\)を①に代入して\(y\)について解くと、
\(80+y=180\)
\(y=100\)
よって、走った時間は80分、歩いた時間は100分。
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