中学2年生の数学では1年生で習った方程式をさらに掘り下げ、『連立方程式』を学びます。
連立方程式はつまづきやすいポイントがいくつかありますが、基本を一つずつ整理していけばきちんと理解できるはずです。
今回は連立方程式の2種類の解き方「代入法」と「加減法」についてそれぞれ解説していきます。
連立方程式とは
連立方程式を簡単に説明すると「複数の解を求めるための、複数の方程式を組み合わせた式」です。
たとえば「A君はB君の2倍の年齢である」これをA君がx歳、B君がy歳として方程式を立てると、
\(x=2y\)
となります。しかし未知の文字が2つあるのでこれだけでは解の候補が絞れず、それぞれの値を求めることができません。
\((x=2,y=1)\)\((x=4,y=2)\)\((x=6,y=3)\)\((x=8,y=4)\)\((x=10,y=5)\)・・・
そこで「A君はB君よりも5歳年上である」という情報が加われば次の式を立てることができます。
\(x=y+5\)
このように異なる情報から複数の方程式を立て、これらを並べたものを『連立方程式』と言います。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x=2y \\ x=y+5 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

方程式に未知の文字が2つ含まれる場合、1つの方程式ではそれを解くことができませんが、2つの方程式があればそれぞれの値を求めることができるのです。
実際に解の候補は\((x=10,y=5)\)の1つに絞られます。
今回は連立方程式をどのように解くのかを見ていきましょう。
連立方程式の2つの解き方
連立方程式の解き方には代入法と加減法の2種類があります。
代入法
代入法とは、「一方にもう一方の式を代入することで文字を一つ消去し、連立方程式を解く方法」です。
たとえば以下の連立方程式を代入法で解いてみましょう。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x=2y \\ x=y+5 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

このように一方の方程式が「\(x=\)」や「\(y=\)」の形なら、そのまま右辺をもう一方の式に代入することができます。
こうすることで一方の文字が消えるので、一次方程式になります。一次方程式は1年生のときに習った通りに解きましょう。

一次方程式から導いたひとつの解を最初の連立方程式のどちらかに代入すればもう一方の解も求まります。
加減法
加減法とは「2つの方程式を足したり引いたりして文字を一つ消去し、連立方程式を解く方法」です。
たとえば以下の連立方程式を加減法で解いてみましょう。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3x+2y=5 \\ x-2y=7 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)

このように2つの式の両辺をそれぞれ足す(引く)ことで文字を消去して一次方程式にします。
その一次方程式を解いて求めた解を最初の方程式に代入すると、もう一方の解も求めることができます。
今回の例では\(y\)の係数が揃っていたのでそのまま足したら\(y\)が消えましたが、係数の絶対値が異なる場合、方程式を○倍して2つの方程式の係数を揃えないといけません。
代入法と加減法について説明していきましたが、方法は違ってもどちらもポイントは同じです。
問題によってどちらの方法で解くのが楽か変わってきます。実際に問題を解きながら考えていきましょう。
練習問題
問題1
次の連立方程式の解を求めよ。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y=5-2x \\ 3x+2y=6 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
最初の式が「y=」の形となっており、代入しやすいので『代入法』で解きましょう。

問題2
次の連立方程式の解を求めよ。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+2y=4 \\ 2x-3y=-13 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
片方を「x=」の形に変形して代入法で解く方法もありますが、ここでは加減法で解いてみましょう。
方程式は左辺と右辺、両方に同じ数をかけても解は変わらないので、これを利用して係数を揃えます。

この問題ではxの方が係数を揃えやすいので、①の左辺と右辺に2をかけて②を引くことでxを消去することができます。
文字を片方消すことができれば、あとは一次方程式を解き、元の式に代入することでもう一方の解も求めることができます。
問題3
次の連立方程式の解を求めよ。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 5x-2y=3 \\ 4x-3y=-6 \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
この問題は「\(x=\)」や「\(y=\)」の形にすると分数が出てきてややこしくなるので、代入法で解くのは困難です。加減法で解きましょう。
ただ先程の問題とは違い、両方の式を整数倍しないと係数が揃えられません。\(x\)と\(y\)どちらの係数を揃えるのが簡単か考えましょう。
整数倍して係数を揃える場合、係数の最小公倍数で揃えることになります。この問題の場合、\(x\)なら「5と4→20」、\(y\)なら「2と3→6」といった感じです。
小さい数字の方が計算が楽なので、\(y\)の係数を揃えて計算していくと次のようになります。

加減法の解き方についてまとめると以下の通り。
- 一方、もしくは両方の方程式を整数倍して\(x\)または\(y\)の係数の絶対値を揃える
- 2つの方程式を足し引きして、係数を揃えた文字を消去する
- 残った文字に関する一次方程式を解く
- 求めた解を元の式に代入してもう一方の解を求める
『代入法』は片方が「\(x=\)」や「\(y=\)」という形になる場合には便利な方法ですが、それ以外は基本的に『加減法』で解くほうが楽です。
ただ代入法にしても加減法にしても、「どのようにして片方の文字を消去するか」というのが一番のポイントになるので、これをしっかり抑えましょう。
ちなみに連立方程式について、自由に印刷できる練習問題を用意しました。数値はランダムで変わり無数に問題を作ることができるので、ぜひご活用ください。

