中学1年生では『比例』、中学2年生では『1次関数』の式やグラフについて習いました。
3年生ではこれらをさらに発展させた『2次関数』を習います。変数が2次になっただけで、考え方自体はあまり変わりません。
ただし覚えることも増えますし、2次関数ならではのポイントもあるのでしっかり抑えていきましょう。
目次
2次関数とは?
2次関数とは、「2次の関数」、つまり「変数の次数が2の関数」を指します。
2次関数を表す式:\(y=ax^2\)
比例を表す式は\(y=ax\)で\(x\)は1次でしたが、この\(x\)が2次になったものが2次関数です。
比例の場合、「\(y\)が\(x\)に比例する」と言いましたが、2次関数の場合は「\(y\)が\(x^2\)に比例する」と言います。
- \(x\)を\(◯\)倍したとき、\(y\)も\(◯\)倍になる関係が比例
- \(x\)を\(◯\)倍したとき、\(y\)が\(◯^2\)倍になる関係が2次関数の式
ちなみに、1次関数といえば\(y=ax+b\)(\(a,b\)は定数)で、\(b=0\)のとき「比例を表す式」になります。
比例の式は1次関数の定数項が0となる特別な形です。
これと同様に、2次関数は厳密には\(y=ax^2+bx+c\)(\(a,b,c\)は定数)という形で、\(b=0,c=0\)となる2次関数は特別な形と言えます。
ただし中学校数学で習う2次関数は常に\(b=0,c=0\)の2次関数\(y=ax^2\)の形なので、この点は今は深く考えなくても問題ありません。
2次関数の例
例題を通して2次関数の例を見ていきましょう。
底面の1辺が\(xcm\)の正方形、高さが\(1cm\)の直方体がある。この立方体の体積を\(ycm^3\)としたとき、\(y\)を\(x\)の式で表せ。
直方体の体積は「底面積×高さ」です。
底面は1辺が\(xcm\)の正方形なので、底面積は\(x\times x (cm^2)\)。高さは\(2cm\)。
よって、体積は\(x\times x \times 2=2x^2(cm^3)\)
\(y\)を\(x\)の式で表すと、\(y=2x^2\)です。
2次関数の式になっており、\(y\)は\(x^2\)に比例するといえます。
具体的には、「この直方体の体積は、底面の1辺の長さの2乗に比例する」といいます。
「底面の1辺の長さの2乗」とは、ここでは「底面積」です。
高さが一定の直方体は、底面積に比例するのは明らかだと思います。
\(x\)を\(◯\)倍したとき、\(y\)も\(◯\)倍になる関係が比例です。
『体積=底面積×高さ』なので、高さが\(2cm\)と決まっているなら、底面積が2倍になれば体積も2倍、底面積が3倍になれば体積も3倍になります。
さらに\(y\)と\(x\)の関係を表にすると次のようになります。
\(x\)が2倍になれば、\(y\)は4倍(\(2^2\)倍)、\(x\)が3倍になれば\(y\)は9倍(\(3^2\)倍)、\(x\)が4倍になれば\(y\)は16倍(\(4^2\)倍)となります。
\(x\)が\(◯\)倍になれば底面積が\(◯^2\)になり、\(y\)が底面積に比例することを考えると理解できるかと思います。
ちなみに『関数』とはどういったものを指す言葉だったか復習しましょう。
の値が決まれば の値が決まる場合、「 は の関数である」と言うのでした。
上の例を見れば、底面の1辺の長さ「\(xcm\)」が決まれば体積「\(ycm^3\)」が求められるので、\(y\)が\(x\)の関数になっているのがわかりますね。
2次関数のグラフ
続いて2次関数がどのようなグラフになるのか見ていきましょう。
\(y=x^2\)について、\(x\)に対する\(y\)の値を表にまとめると以下の通り。
座標にそれぞれの点を書いてなめらかな曲線で繋げたら完成です。
このグラフについてですが、いくつかポイントがあります。
- 原点を通る
- \(y\)軸に対して線対称
- なめらかな曲線
- a<0で上に凸、a>0で上に凸のグラフ
ポイント1.原点を通る
\(y=ax^2\)は\(a\)がどんな値でも、\(x=0\)のとき\(y=0\)です。
つまり、必ず原点\((0,0)\)を通る事がわかります。
ポイント2.\(y\)軸に対して線対称
2次関数は、\(x\)の値の符号が反転しても\(y\)の値は変わりません。
\(x=-1\)のとき、\(x=1\)のとき、ともに\(y=1\)。
\(x=-2\)のとき、\(x=2\)のとき、ともに\(y=4\)。
\(x=-3\)のとき、\(x=3\)のとき、ともに\(y=9\)。
\(a\)や\(x\)がどんな値でもこの事は言えるので、グラフにすると\(y\)軸に対して線対称になることがわかります。
ポイント3.なめらかな曲線
2次関数のグラフはなめらかな曲線になります。
実際にさらに多くの点を補完して点を繋げると確かめることができます。
下は\(y=x^2\)について、\(-2 \leqq x \leqq 2\)の範囲で\(x\)を0.1刻みで点を打ったグラフです。
点を繋げるとなめらかなグラフになることが確認できるかと思います。
ちなみに、2次関数のグラフは物を投げた時の軌道とほぼ同じ形になるので、『放物線』と言います。
ポイント4.a<0で上に凸、a>0で下に凸のグラフ
上は\(y=x^2\)のグラフと\(y=-x^2\)のグラフです。
これらの\(y\)の値は符号が反転したものなので、\(x\)に対して線対称のグラフになります。
\(y=ax^2\)において、\(a\)が負のときは上に凸な放物線(上に出っ張った放物線)、正のときは下に凸な放物線(下に出っ張った放物線)になります。
\(y=ax^2\)の\(a\)の値によるグラフの形の変化
2次関数の形は常に放物線であることは変わりません。
ただし定数\(a\)の値によってグラフの傾きなど、形が変わってくるので、それが視覚的に理解できるものを用意しました。
スライダーを動かすことで\(a\)の値を変化させることができるので、グラフがどう変わるのか確認してみてください。
以上、2次関数の式やグラフについてでした。