三平方の定理は直角三角形の辺の長さに関する定理ですが、今後、図形だけではなく関数などあらゆる分野でも利用することになる重要な定理です。
今回は三平方の定理の証明について詳しく図を使って解説していきます。
三平方の定理は何百という証明方法がありますが、最も一般的な方法を紹介し、さらに図で直感的に理解できるようにしています。
三平方の定理とは?
三平方の定理とは、直角三角形における各辺の長さに関する定理です。
証明したピタゴラスにちなんで、『ピタゴラスの定理』ともいわれます。
「斜辺(一番長い辺)の2乗」が、「他の辺の2乗の和」に等しいという定理です。
直角三角形の1辺の長さだけがわからない場合に、この定理を用いることで求めることができます。
また逆に、三角形の各辺について、「\(c^2=a^2+b^2\)」が成り立つ場合、その三角形が直角三角形であるといえます。
では、なぜ三平方の定理が成り立つのか、証明を見ていきましょう。
三平方の定理の証明
一辺の長さが\(c\)の正方形ABCDがあります。
図のように、各辺の長さが\(a,b,c\)(\(c\)が斜辺)の直角三角形を4つ用意し、これを正方形ABCDの各辺に合わせて一辺が\(a+b\)の正方形PQRSを作ります。
この図形の面積を2通りの方法で出して、方程式を立てます。
「直角三角形×4」+「一辺\(c\)の正方形」=「一辺\(a+b\)の正方形」
\(\dfrac{ab}{2} \times 4+c^2=(a+b)^2\)
\(2ab+c^2=a^2+2ab+b^2\)
\(c^2=a^2+b^2\)
よって、直角三角形には\(c^2=a^2+b^2\)という関係式が成り立つことが導けました。
三平方の定理を直接証明するというものではないので、ややこしく感じるかもしれません。
納得できない人のために、次は図で直感的に理解できるよう解説します。
三平方の定理が直感的にわかる図
三平方の定理は各辺の2乗の等式です。
つまり、各辺を一辺とした正方形の面積で関係を表すことができます。
以下のように各辺が\(a,b,c\)の直角三角形の場合、斜辺を一辺とする正方形が他の辺を一辺とする正方形の和と等しくなります。
つまり三平方の定理とは、「赤い面積」が「青い面積」と等しいということ。
そしてこれから、この面積が等しいということを示すことで、三平方の定理を導きます。
方針としては、両方に同じ図形を足して、合同な図形にしていきます。
まず斜辺の赤い正方形について。
これに各辺が\(a,b,c\)の直角三角形を4つ加えます。先程の証明のときと同じ形です。
一辺\(a+b\)の正方形が出来上がります。
次は青い正方形の組み合わせについて。
こちらも各辺が\(a,b,c\)の直角三角形を4つ加えます。
すると一辺\(a+b\)の正方形が出来上がります。
2つの図形に同じ図形を加えると、同じ面積の図形ができるということは、もとの図形も同じ面積ということです。
「赤い面積」が「青い面積」が等しいので、三平方の定理\(c^2=a^2+b^2\)が正しいことがわかりましたね。
以上、三平方の定理の証明についてでした。
三平方の定理の問題についてはこちら。