三角形・四角形などの角の大きさについてはこれまで扱ってきましたが、ここから円と多角形が組み合わさった、さらに複雑な問題を扱うようになります。
覚えるべき定理はいくつかありますが、最も重要なのが今回解説する『円周角の定理』です。
今回は円周角の定理だけではなく、これに関連した定理を紹介して、問題を解いていきます。ぜひ、実際に問題にチャレンジしながら覚えていきましょう。
円周角の定理とは?
まずは『円周角』などの用語を抑えましょう。
重要な用語は以下の4つです。
- 弧:円周上の一部分。
- 弦:円周上の2点を結んだ線分。
- 円周角:弧の両端から円周上の一点に線分を引いたときにできる角。
- 中心角:円周上の2点から中心に線分を引いたときにできる角。
円周角には2つの定理があります。
- 1つの弧に対する円周角は等しい
- その円周角はその弧に対する中心角の半分である
なぜ円周角の定理が成り立つのか、その証明については以下をご覧ください。
続いて、この円周角の定理に関する重要な定理・性質について紹介します。
半円の弧に対する円周角(タレスの定理)
弧ABが半円の場合、線分ABは円の中心を通り中心角が直線(180°)なので、円周角はその半分の90°になります。
ちなみにこれを「タレスの定理」といいます。
逆に、「直角三角形の各頂点を通る円は、斜辺(直角に対する辺)がその円の直径になる」というのも重要な性質です。
円周角の定理の逆
図のように「点A、点B、点P、点Qにおいて、∠APQ=∠AQBなら、すべての点は1つの円周上にある」といえます。
円に内接する四角形
四角形の各頂点がひとつの円周上にあるとき、「対角の和は180°」になります。
下図のように、対角の2つの角に対する中心角の和が360°になるので、円周角の和はその半分の180°となるからです。
また、この定理から「円に内接する四角形において、ある頂点の外角は対角の内角と等しい」という定理も導けます。
この図において、∠BCDの外角を考えると、「∠BCD=180°-外角」といえます。
また、先程の定理より、対角の和が180°になることから、「∠BCD=180°-a」です。
よって「外角=a」となるのです。
円周角の定理の練習問題
問題1
図の∠\(x\)の大きさを求めよ。(点Oは円の中心である)
円周角は中心角の半分なので、
∠\(x\)=96°÷2=48°
問題2
図の∠\(x\)の大きさを求めよ。
∠Aと∠Dはどちらも弧BCの円周角なので、
∠D=∠A=45°
三角形の外角は他の2つの内角の和と等しいので、
∠\(x\)=∠D+∠C=45°+35°=80°
問題3
図の∠\(x\)の大きさを求めよ。(点Oは円の中心である)
△BCOはBO=COの二等辺三角形なので、
∠OCB=∠OBC=12°
∠BOC=180°-12°-12°=156°
∠\(x\)は中心角が∠BOC(=156°)のときの円周角なので、
∠\(x\)=156°÷2=78°
問題4
図の∠\(x\)の大きさを求めよ。(点Oは円の中心である)
∠BADは半円の弧に対する円周角なので、
∠BAD=90°
∠BAC=∠BAD-∠CAD=90°-62°=28°
∠\(x\)と∠BACはともに弧BCの円周角なので、
∠\(x\)=∠BAC=28°
問題5
図の∠\(x\)の大きさを求めよ。(点Oは円の中心である)
∠\(x\)に対する中心角は150°でその半分の75°が答え・・・と考えがちですが、実際には∠\(x\)に対する中心角はその反対側の210°です。
少しややこしいですが、弧BCがどちらがわなのかを意識すると中心角・円周角の向きがわかりやすいかと思います。
円周角は中心角の半分なので、
∠\(x\)=210÷2=105°
問題6
図の∠\(x\)、∠\(y\)の大きさを求めよ。
円周角の定理の逆より、∠ADB=∠ACBなので点A・点B・点C・点Dは1つの円周上にあります。
∠\(x\)と∠BCDは弧BCの円周角なので、
\(x\)=∠BCD=66°
∠DAC=125°-66°=59°
∠\(y\)と∠DACは弧CDの円周角なので、
\(y\)=∠DAC=59°