円周角の定理は、1つの弧に対する円周角・中心角に関する定理です。
- 1つの弧に対する円周角は等しい
- その円周角はその弧に対する中心角の半分である
他の単元との複合問題として使われることも多く、非常に重要な定理なのですが、この定理の証明は少し複雑です。
今回はこれをわかりやすく、図解多めで解説していきます。
円周角の定理の証明方法について
円周角の定理は2つありますが、「どんな場合でも円周角は常に中心角の半分である」ということを示せば、両方の定理の証明になります。
より具体的に言えば、円周角をなす点Pの位置を動かして、3つのパターンにおいて常に円周角が中心角の半分であることを示します。
1.中心角・円周角をなす線分が交わらないとき
2.中心角・円周角をなす線分が交わるとき

3.中心角・円周角をなす線分が重なるとき

ではそれぞれの場合について見ていきましょう。
1.中心角・円周角をなす線分が交わらないとき

点P・点Oを通る直径PQを引く。

△APOはAO=POの二等辺三角形なので、
∠PAO=∠AOP
∠AOQは△APOの外角で、となり合わない角の内角の和に等しいので、
∠AOQ=∠APO+∠PAO=2∠APO
△BPOもBO=POの二等辺三角形であり、同様に外角について考えると、
∠BOQ=∠BPO+∠PBO=2∠BPO
弧ABに対する円周角は、
∠APB=∠APO+∠BPO
弧ABに対する中心角は、
∠AOB
=∠AOQ+∠BOQ
=2∠APO+2∠BPO
=2(∠APO+∠BPO)
よって円周角は中心角の半分である。


2.中心角・円周角をなす線分が交わるとき

点P・点Oを通る直径PQを引く。

△APOはAO=POの二等辺三角形なので、
∠PAO=∠AOP
∠AOQは△APOの外角で、となり合わない角の内角の和に等しいので、
∠AOQ=∠APO+∠PAO=2∠APO

△BPOもBO=POの二等辺三角形であり、同様に外角について考えると、
∠BOQ=∠BPO+∠PBO=2∠BPO

弧ABに対する円周角は、
∠APB=∠BPO-∠APO
弧ABに対する中心角は、
∠AOB
=∠BOQ-∠AOQ
=2∠BPO-2∠APO
=2(∠BPO-∠APO)
よって円周角は中心角の半分である。

3.中心角・円周角をなす線分が重なるとき

△BPOはBO=POの二等辺三角形なので、
∠PBO=∠BPO
∠AOBは△BPOの外角で、となり合わない角の内角の和に等しいので、
∠AOB=∠APB+∠PBO=2∠APB
弧ABに対する円周角は、
∠APB
弧ABに対する中心角は、
∠AOB
=2∠APB
よって円周角は中心角の半分である。

以上より、いずれの場合でも円周角が中心角の半分になることが示されたので、円周角の定理が証明できました。
円周角の定理のさらに発展させた定理や、問題の解き方のポイントなどは以前まとめたので、ぜひこちらもご覧ください。
