直線同士のなす角には「対頂角」「同位角」「錯角」という特別な関係があります。
これらは重要な性質があり、今後図形の角度の大きさを求める問題や合同の証明などに頻繁に使うことになるため、しっかり抑えておく必要があります。
特に「同位角」と「錯角」は言葉で説明するのが難しく、覚えるにはポイントがあるので、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
対頂角の意味と性質
対頂角とは、2つの直線が交わる点における向かい合った角を指します。上の図の例では「∠aの対頂角は∠c」「∠bの対頂角は∠d」です。
“同じ頂点の反対側の角”という意味です。
そして重要な性質として、対頂角は必ず角度が等しくなります。
なんとなく同じ大きさになりそうというのは直感的にわかりそうですが、きちんと証明しておきましょう。
上の図を使って「∠a=∠c」を証明していきます。
∠aと∠b、∠cと∠bは足すとそれぞれ直線になるので、
∠a+∠b=180°
∠c+∠b=180°
これらを変形するとこのようになります。
∠a=180°-∠b
∠c=180°-∠b
∠aと∠cはともに「180°-∠b」と表せるので、「∠a=∠c」となります。
同位角の意味と性質
同位角をきちんとした言葉で説明すると「2直線に別の直線が交わる時、異なる頂点から同じ方位に向けて開く2角の組」となりますが、これでは何のことやらわからないと思います。
これを簡単に噛み砕くと「2直線に別の直線が交わってできる角のうち、異なる頂点の同じ位置関係にある角の組」です。
これでもややこしいので、図で理解するのが一番わかりやすいです。
2直線に直線が交わると交点が2つできます。2つ交点の同じ位置関係にあたる角が同位角です。
つまり交点の右上(∠a,∠a’)、右下(∠b,∠b’)、左下(∠c,∠c’)、左上(∠d,∠d’)同士が同位角になります。
そして重要な性質として、2直線が平行の場合、同位角の角度が等しくなります。
錯角の意味と性質
さらにややこしいのが錯角です。
錯角は「2直線に別の直線が交わる時、斜め向かいに位置する2角の組」とよく説明されますが、これでは分かりにくいですね。
これも図を見て理解するのが一番です。下の図の「∠aと∠a’」「∠bと∠b’」が錯角になります。
内側の4つの角の交差する位置の角が錯角と覚えましょう。「エ」の形に注目するとわかりやすいです。
そして重要な性質として、2直線が平行の場合、錯角の角度が等しくなります。
「対頂角」「同位角」「錯角」のまとめ
対頂角・同位角・錯角を1つの図にまとめました。
∠aに対して、∠a1・∠a2・∠a3はそれぞれ以下の角にあたります。
- ∠a1:対頂角
- ∠a2:同位角
- ∠a3:錯角
言葉では理解しにくいので、視覚的に「ここが対頂角」「ここが同位角」「ここが錯角」と目で見て覚えるのをおすすめします。
また、2直線が平行な時に限り、同位角と錯角は等しくなりますが、対頂角はいかなるときも等しいということは注意しましょう。
- 対頂角:どんなときでも必ず角度が等しい
- 同位角・錯角:2直線が平行なときに限り角度が等しくなる