前回、一次関数の式やグラフについて基本的な内容を解説したので、今回は一次関数の様々な問題のパターンを見ていき、どうやって解いていくのかを学びましょう。
一次関数はいろいろな問題が出されるので混乱してしまうかもしれませんが、パターン自体は決まっているので慣れてしまえば簡単に解けるようになります。
ぜひ今回の内容を参考にして、それぞれのパターンのポイントを抑えていきましょう。
目次
一次関数の問題のパターン
一次関数の主な問題のパターンは7つです。
- 【パターン1~3】文章から一次関数の式を求める
- 「傾き」と「切片」が与えられる
- 「傾きと1点の座標」が与えられる
- 「グラフが通る2点の座標」が与えられる
- 【パターン4】グラフから一次関数の式を求める
- 【パターン5】与えられた一次関数の式をグラフに書く
- 【パターン6】\(x\)の変域から\(y\)の変域を求める
- 【パターン7】2つのグラフの交点を求める
今回はこれらの問題の解き方についてそれぞれ解説していきます。
一次関数の問題の解き方
【パターン1~3】文章から一次関数の式を求める
【パターン1】
直線\(y=3x\)に平行で点\((0,-2)\)を通る直線の式を求めよ。
一次関数において平行な直線は傾きが等しいということを指すので、「直線\(y=3x\)に平行」というのは「傾きが3」ということです。
そして「点\((0,-2)\)を通る」というのは「切片が-2」ということ。
つまり問題文を言い換えると「傾き3、切片-2の直線の式を求めよ」ということなので、答えは\(y=3x-2\)。
【パターン2】
傾きが\(\dfrac{1}{2}\)で点\((2,3)\)を通る直線の式を求めよ。
傾きが\(\dfrac{1}{2}\)の直線は\(y=\dfrac{1}{2}x+b\)と置くことができます。
この直線は点\((2,3)\)を通るので、直線に\(x=2、y=3\)を代入すると等式が成り立つはずです。
\(3=\dfrac{1}{2}×2+b\)
これを解くと、
\(b=2\)
直線の式に代入すると、
\(y=\dfrac{1}{2}x+2\)が求められました。
【パターン3】
2点\((-1,3)\),\((5,0)\)を通る直線の式を求めよ。
求める直線を\(y=ax+b\)と置いた時、この直線が2点\((-1,3)\),\((5,0)\)を通るというのは、(\(x=-1、y=3\))または(\(x=5、y=0\))を式に代入したら等式が成立するということです。
それぞれを代入すると以下のような方程式になります。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3=-a+b・・・① \\ 0=5a+b・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
連立方程式を解きます。
\(\begin{eqnarray} &3&=&-a&+b \\ -) & 0&=&5a&+b \\ \hline
&3&=&-6a& \end{eqnarray}\)
\(a=-\dfrac{1}{2}\)
①にaを代入すると、
\(3=\dfrac{1}{2}+b\)
\(b=\dfrac{5}{2}\)
よって答えは\(y=-\dfrac{1}{2}+\dfrac{5}{2}\)
【パターン4】グラフから一次関数の式を求める
次の直線の式を求めよ。
グラフから切片を求める方法はいくつかありますが、一番簡単なのは「傾き(\(x\)が1増えたときの\(y\)の増加量)」と「切片」をそれぞれグラフから直接読み取る方法です。
ただ今回のグラフのように傾き、切片ともに分数の場合グラフから読み取ることができません。
そんなときは直線が通る座標が整数となる2点に着目して【パターン3】と同じように解きます。このグラフの場合は点\((-2,1)\),点\((1,-1)\)を通ることに注目しましょう。
あとはパターン3と同じように連立方程式で解いてもよいのですが、2点を通る直線の式を求めるには別の方法があるのでそちらを解説します。
傾きは「変化の割合」と言い換えることもでき、『傾き(変化の割合)=\(\dfrac{yの増加量}{xの増加量}\)』と考えることができます。
なので2点間のxの増加量とyの増加量を読み取ることができれば傾きがわかるということです。
今回の場合、xが3増えるとyが2減るので、傾きは\(-\dfrac{2}{3}\)です。
あとはパターン2と同様。傾きと直線が通る1点から直線の式を求める問題と考えて解きましょう。
\(y=-\dfrac{2}{3}x+b\)とおいてこれが(1,-1)を通るので代入してbについて解きます。
\(-1=-\dfrac{2}{3}+b\)
\(b=-\dfrac{1}{3}\)
よって答えは\(y=-\dfrac{2}{3}x-\dfrac{1}{3}\)
【パターン5】与えられた一次関数の式をグラフに書く
直線\(y=\dfrac{5}{3}x+\dfrac{2}{3}\)のグラフを書きなさい。
一次関数のグラフは直線なので、通る2点の座標がわかればグラフに書くことができます。
\(x\)座標・\(y\)座標ともに整数となる点を見つけましょう。そのために\(x\)に小さい整数を代入していき、\(y\)も整数となる場合を考えます。
今回は\(x=-1\)のとき\(y=-1\)、\(x=2\)のとき\(y=4\)となるので\((-1,-1),(2,4)\)を通ることがわかりました。
この2点を通る直線が答えです。
【パターン6】\(x\)の変域から\(y\)の変域を求める
一次関数\(y=-\dfrac{3}{2}x+\dfrac{2}{3}\)においてxの変域が\(-3≦x≦2\)のとき、yの変域を求めよ。
\(x=-3\)のとき\(y=\dfrac{9}{2}+\dfrac{2}{3}=\dfrac{31}{6}\)
\(x=2\)のとき\(y=-\dfrac{6}{2}+\dfrac{2}{3}=\dfrac{-8}{3}\)
\(x\)の変域の最大値・最小値が\(y\)の変域の最小値・最大値と対応するので、答えは\(\dfrac{-8}{3}≦y≦\dfrac{31}{6}\)
※傾きが負の場合、xの変域の最小値がyの変域の最大値、xの変域の最大値がyの変域の最小値と対応します
【パターン7】2つのグラフの交点を求める
2つの直線\(y=-2x-3\)と\(y=4x+2\)の交点の座標を求めよ。
2つの直線の交点の座標を求めよという問題は、「\(y=-2x-3\)と\(y=4x+2\)を同時に満たす\(x\),\(y\)の値を求めよ」と言い換えることができます。
つまり連立方程式として解けばよいのです。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y=-2x-3・・・① \\ y=4x+2・・・② \end{array} \right. \end{eqnarray}\)
\(\begin{eqnarray} &y&=-&2x&-3 \\ -) & y&=&4x&+2 \\ \hline
&0&=-&6x&-5 \end{eqnarray}\)
\(x=-\dfrac{5}{6}\)
①にxを代入すると、
\(y=\dfrac{10}{6}-3=-\dfrac{4}{3}\)
よって答えは(\(-\dfrac{5}{6},-\dfrac{4}{3}\))
ちなみに1次関数について、自由に印刷できる練習問題を用意しました。数値はランダムで変わり無数に問題を作ることができるので、ぜひご活用ください。
問題をグラフにしてとても分かりやすかったです。
グラフが分かりやすかった。参考になる。