中学二年生で習う平面図形ではいろんな図形の性質を利用して問題を解きますが、その中で代表的な図形のひとつが二等辺三角形です。
二等辺三角形の性質で角度を求めたり、二等辺三角形であることを証明したりする問題がよく出されます。
このような問題を解くには二等辺三角形の定義や性質をきちんと抑えておく必要があるので、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
二等辺三角形の定義と性質
二等辺三角形の定義・定理をまとめると以下の通り。
- 定義
- 2辺の長さが等しい三角形
- 定理(性質)
- 底角が等しい
- 頂角の二等分線は底辺を二等分するに垂線になる

ここでいう定義とは、「こういう三角形を二等辺三角形としよう」と決めたことなので、これは導くことができません。
「なぜ二等辺三角形は2辺の長さが等しいのか?」と問われても、「そのように定義したから」という答えになってしまいます。
そして三角形が二等辺三角形であることを証明するには、二等辺三角形の定義である“二辺の長さが等しいこと”を示す必要があります。
一方、定理は定義から導かれる性質です。
二等辺三角形は2つの定理(性質)がありますが、これらは三角形の二辺の長さが等しいことに由来します。
では二等辺三角形の定義から定理を証明してみましょう。
二等辺三角形の定理(性質)の証明
二等辺三角形ABCについて「∠B=∠C」、そして∠Aの二等分線ADを引いた時、「∠ADB=∠ADC=90°かつBD=CD」となることを証明します。

△ABDと△ACDにおいて二等辺三角形の定義より、
AB=AC・・・①
ADは共通・・・②
仮定より∠BAD=∠CAD・・・③
①②③より二組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
△ABD≡△ACDである。
合同の三角形は対応する角の大きさ、対応する辺の長さが等しいので、∠B=∠C、∠ADB=∠ADC=90°、BD=CDである。
二等辺三角形の性質に関する問題
問題1
次の図の∠xの大きさを求めよ。
二等辺三角形の底角は等しいので、∠B=∠C=22°
三角形の内角の和は180°より、
180°-22°×2=136°
∠x=136°
問題2
次の図の∠xの大きさを求めよ。
三角形の内角の和の性質と二等辺三角形の底角の性質より、
∠ABD=∠ADB=(180°-40°)÷2=70°
∠ADC=180°-∠ADB=180°-70°=110°
二等辺三角形DACに着目して同様に内角の和の性質と底角の性質より、
∠DAC=(180°-∠ADC)÷2=(180°-110°)÷2=35°
∠x=35°
問題3
次の図の∠xの大きさを求めよ。
三角形の内角の和の性質と二等辺三角形の底角の性質より、
∠ABC=∠ACB=(180°-60°)÷2=60°
∠DBC=∠DCB=60÷2=30°
△DBCに着目して内角の和の性質を用いると、
∠BDC=180°-30°×2=120°
∠x=120°
問題4
次の図のBCDEは正方形である。AB=AEとすると△ACDが二等辺三角形となることを証明せよ。

このような図形の問題を解く場合、まずはじめに問題文で与えられている情報を図に書き込んでいくのがポイントです。

今回は△ACDが二等辺三角形であることを証明するわけですが、そのためにはAC=ADを示さないといけません。
そしてもしAC=ADなら上の図より、△ABC≡△AEDとなるはずです。
このように結論から逆算していくのが証明問題のコツです。では解答に入っていきます。
△ABCと△AEDにおいて仮定より、
AB=AE・・・①
正方形の辺の長さ、角の大きさはすべて等しいので、
BC=ED・・・②
∠CBE=DEB・・・③
①より△ABEは二等辺三角形である。そして二等辺三角形の底角の大きさは等しいので、
∠ABE=∠AEB・・・④
③④より、
∠ABC=∠AED・・・⑤
①②⑤より2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので、
△ABC≡△AED。
合同の三角形の対応する辺の長さは等しいのでAC=AD。よって△ACDは二等辺三角形である。