計算テクニック

2桁×2桁の掛け算が瞬時に解ける「暗算テクニック」を9個紹介

日本の学校教育において2桁×2桁の掛け算は大抵の場合、紙に“筆算”を書いて求めるのが一般的です。暗算でこれを計算するのは慣れが必要ですし、正確性やスピードも落ちてしまいます。

しかし特定の組み合わせの場合、2桁×2桁の掛け算を瞬時に暗算で解くテクニックがあります。

14×19、73×77、91×94、76×64、81×11、76×99

こういった計算は筆算を書いていたら10秒くらい時間がかかると思いますが、今回紹介するテクニックを使えば上記の計算なら誰でも数秒で、しかも暗算で答えを出すことができるでしょう。

使う機会は限られますが、高校・大学受験で役立つと思いますし、何より数学的思考力は確実に磨かれるはずです。

ぜひ参考にしてみてください。

2桁×2桁の暗算テクニック

①20未満の2桁同士の掛け算(11~19)

12×13、14×19、15×18、11×17、16+16 ・・・全45通り

このように『1●×1▲』といった掛け算の場合、慣れれば誰でも数秒くらいで暗算可能です。

2つの数字の掛け算は長方形の面積を求める問題に置き換えることができ、さらに長方形を変形することで計算を楽にすることができます。この方法ですべての掛け算が簡単になるというわけではないのですが、『1●×1▲』の形の場合はいずれにしても適応可能です。

具体的に12×13例を見ていきましょう。

中学校で習う因数分解の知識があるとそれぞれ以下のような式の変形に当てはめることができます。

12×13 ・・・①
=(10+2)×(10+3) ・・・②
=10×(10+2+3)+2×3 ・・・③
=10×15+2×3 ・・・④

※②と③の間に『10×10+10×(2+3)+2×3』を挿入するとわかりやすいかもしれません。

これを一般化すると以下の式になります。

暗算テクニック1

1●×1▲=10×(10+●+▲)+●×▲

この式だけ見ると複雑に感じるかもしれませんが、実際に計算してみたらいかにこれがいかに便利なものかわかるかと思います。

例)

  • 11×16=10×(10+1+6)+1×6=170+6=176
  • 14×15=10×(10+4+5)+4×5=190+20=210
  • 19×17=10×(10+9+7)+9×7=260+63=323

公式として丸暗記してもおそらくすぐに忘れてしまいます。はじめは頭の中で長方形の変形をイメージして確認しながら計算するようにしましょう。

ちなみに「11~19」同士の掛け算の問題を生成するプログラムを作りました。ぜひこれを活用して習得してください。

00×0000

また、この考え方は『1●×1▲』だけでなく、『2●×2▲』『3●×3▲』など十の位が同じ数同士の掛け算で同様に使うことができます。

  • 2●×2▲=20×(20+●+▲)+●×▲
  • 3●×3▲=30×(30+●+▲)+●×▲
  • 4●×4▲=40×(40+●+▲)+●×▲
  • 5●×5▲=50×(50+●+▲)+●×▲

…etc

実際に上で図解した長方形の変形において『10』という数字を『20』や『30』などに置き換えたらこのようになるのが確認できるでしょう。

ただ『2●×2▲』ならともかく、3以上になると計算が少し煩雑になりますし桁の繰り上がりなどもでてくるのであまり実用的ではありません。

しかしここで『●+▲=10』となればどうでしょうか?

…というのが次のテクニックです。

②「十の位が同じ数」かつ「一の位の和が10」

11×19、22×28、31×39、44×46、52×58、64×66、73×77、86×84、97×93 ・・・全45通り

このように十の位が同じ数、かつ一の位の和が10の場合、前項と同じような考え方で簡単に暗算が可能です。

具体的に64×66例を見ていきましょう。

一の位の和が10になることで、長方形を変形したら横の長さがちょうど(縦の長さ+10)となるのです。

これを式に表すと以下の通り。

64×66 ・・・①
=(60+4)×(60+6) ・・・②
=60×(60+6+4)+4×6 ・・・③
=60×70+4×6 ・・・④

考え方自体は前項と全く一緒です。ただ『●+▲=10』となったことで10の位の数字が大きくなっても楽に計算できるようになったというわけです。

暗算テクニック2

■●×■▲=■0×(■+1)0+●×▲

※●+▲=10

例)

  • 22×28=20×(20+10)+2×8=600+16=616
  • 86×84=80×(80+10)+6×4=7200+24=7224
  • 97×93=90×(90+10)+7×3=9000+21=9021

これも公式のように覚えてもこんがらがるだけなので、はじめは実際に長方形をイメージしながら計算するようにしましょう。

この形式の計算はこれで練習してください。

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③「十の位の和が10」かつ「一の位が同じ数」

22×82、13×93、45×65、37×77、48×68、29×89 ・・・全45通り

さっきとは逆のパターンですが、この場合も簡単に暗算することが可能です。

具体的に36×76の例を見ていきましょう。

③が少し複雑ですが、30×70の長方形の横の長さを100にするのがポイントです。

※30×70⇒(3×7)×100

以上の変形を式に表すと以下の通り。

36×76 ・・・①
=(30+6)×(70+6) ・・・②
=3×7×100+6×(70+30)+6×6 ・・・③
=(21+6)×100+6×6 ・・・④

暗算テクニック3

●■×▲■=(●×▲+■)×100+■×■

※●+▲=10

例)

  • 22×82=(2×8+2)×100+2×2=1804
  • 13×93=(1×9+3)×100+3×3=1209
  • 45×65=(4×6+5)×100+5×5=2925

一見複雑ですが、実際に使ってみたらとても便利なのがわかるでしょう。

この形式の計算はこれで練習してください。

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④91以上の2桁同士の掛け算(91~99)

92×93、91×94、95×97、99×98 ・・・全45通り

このように十の位が9同士の2桁の数も簡単に暗算が可能です。

例えば92×93=8556は以下のように求められます。

それぞれの100との差を計算し、差の和を100から引いた数字が千・百の位となり、差の積が十・一の位の数字になります。

これに関しては以下の展開式から明らかです。

(100-a)(100-b)=100×100-100(a+b)+ab=100{100-(a+b)}+ab

90未満の掛け算でもこの式は成り立ちますが、その場合abの計算が面倒になったり、abが3桁になったりすることがあるため実用性はなくなります。

暗算テクニック4

(100-a)(100-b)=100{100-(a+b)}+ab

※90以上の2桁同士の掛け算の際に楽に計算できる

例)

  • 92×98=100{100-(8+2)}+8×2=9016
  • 95×93=100{100-(5+7)}+5×7=8835
  • 97×91=100{100-(3+9)}+3×9=8827

この形式の計算はこれで練習してください。

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⑤2つの数の「平均が10の倍数」かつ「差が20未満」

22×18(平均20)、87×93(平均90)、76×64(平均70)、49×31(平均40)、57×43(平均50)、99×81(平均90) ・・・全71通り

このように平均が10の倍数となり、なおかつ差が20未満の数、言い換えれば「一の位の和が10、十の位が1つ違いの数」の掛け算は簡単に求める方法があります。

以下の展開式を使うのです。

(a+b)(ab)=a2 - b2

実際に57×43の例を見てみましょう。

57×43=(50+7)(50-7)=2500-49=2451

以上の展開式はどんな2桁の掛け算でも適応できますが、aが10の倍数でbが10未満じゃないと計算が複雑になるので実用的ではありません。

「aが10の倍数でbが10未満」となる条件が「平均が10の倍数、かつ差が20未満の数」となるのです。

暗算テクニック5

(a+b)(ab)=a2 - b2

※差が20未満かつ平均が10の倍数となるときに暗算が楽になる(一の位の和が10、十の位が1つ違いの数)

例)

  • 22×18=(20+2)(20-2)=400-4=398
  • 49×31=(40+9)(40-9)=1600-81=1519
  • 99×81=(90+9)(90-9)=8100-81=8019

この形式の計算はこれで練習してください。

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⑥11を含む組み合わせ

23×11、45×11、81×11、76×11 ・・・全81通り

このように11を含む2桁の掛け算は暗算で簡単に計算できます。

方法は単純に筆算を頭に描くだけで見えてくるでしょう。

11ではない方の数字に着目し、一の位はその一の位の数字、百の位の数字はその十の位の数字、十の位はこれらを足した数字になります。

暗算テクニック6

●▲×11=●(●+▲)▲

※●+▲が10以上の場合繰り上がるので注意しましょう

わざわざこのまま覚えずとも、頭の中で筆算をイメージしたらすぐに答えが導けるでしょう。

これに関しては経験則で意識せずに暗算していた人も多いかもしれません。

例)

  • 45×11=4|4+5|5=495
  • 81×11=8|8+1|1=891
  • 76×11=7|7+6|6=836

この形式の計算はこれで練習してください。

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⑦99を含む組み合わせ

24×99、45×99、38×99、76×99 ・・・全81通り

一方が99の場合、2桁の掛け算は以下のように変形すれば簡単に求められます。

a×99=a(100-1)=100a-a

実際に24×99の例を見てみましょう。

24×99=24×(100-1)=2400-24=2376

基本的にどんな2桁の数字でも99の掛け算なら上記で簡単に計算できます。

暗算テクニック7

a×99=100a-a

※千の位・百の位は(a-1)、十の位・一の位は(100-a)となると考えることもできる

例)

  • 45×99=4500-45=4455
  • 38×99=3800-38=3762
  • 76×99=7600-76=7524

99以外でも100に近い数字はこれと同様に考えることで楽に暗算できることもあります。一応頭にとどめておくとよいでしょう。

この形式の計算はこれで練習してください。

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⑧一の位の数字が9を含む数字の組み合わせ

23×39、45×19、81×29、76×89 ・・・全693通り

これは頭の中で筆算するよりは楽に計算できるという程度のテクニックです。

どちらかの数字の一の位が9の場合、以下のように考えましょう。

a×b=a{(b+1)-1}=a(b+1)-a

bの一の位が9だとb+1は10の倍数になるため、実質2桁×1桁の掛け算と引き算で求められるというわけです。

23×39の例に当てはめると以下の通り。

23×39=23×(40-1)=23×40-23=920-23=897

暗算テクニック8

a×b=a(b+1)-a

※bの一の位が9なら計算が少しだけ楽になる

例)

  • 45×19=45×(20-1)=45×20-45=900-45=855
  • 81×29=81×(30-1)=81×30-81=2430-81=2349
  • 76×89=76×(90-1)=76×90-76=6840-76=6764

この形式の計算はこれで練習してください。

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⑨どんな2桁でも適応できるゴースト暗算

制約なしに2桁×2桁の暗算を楽に行うテクニックとしてゴースト暗算というものがあります。

筆算と比べると頭にストックしておく数字が少なくて済むため、暗算が楽というものです。

ただしこれまでのテクニックよりも計算の手間は増えますし、書くものがあれば普通に筆算で計算するほうが確実で速いです。習得するのにも慣れが必要になります。

これまでのテクニックが適応できない時の最終手段として使うようにしましょう。

ゴースト暗算の方法については長くなるので前回の記事を参照してください。

お魚プレートを使って2桁の掛け算をする「ゴースト暗算」の方法ゴースト暗算は2桁×1桁、もしくは2桁×2桁の掛け算を暗算する際の画期的な方法です。 2桁の計算は筆算を用いるのが一般的ですが、これを...

9つのテクニックの活用法

ここまでの内容をしっかり理解できた人でも、これだけでは実践できちんと活用できないと思います。

テクニックを9つ紹介しましたが、どういう数字の時にどのテクニックを使うのが最適なのかしっかり頭の中で整理しておく必要がありますからね。

今回紹介したテクニックを列挙すると以下の通り。

  • ①20未満の2桁同士の掛け算(11~19) 例)14×17、15×19
  • ②「十の位が同じ数」かつ「一の位の和が10」  例)24×26、83×87
  • ③「十の位の和が10」かつ「一の位が同じ数」 例)42×62、38×78
  • ④91以上の2桁同士の掛け算(91~99) 例)94×97、95×99
  • ⑤2つの数の「平均が10の倍数」かつ「差が20未満」(一の位の和が10、十の位が1つ違いの数) 例)24×36、83×97
  • ⑥11を含む組み合わせ 例)11×24、11×97
  • ⑦99を含む組み合わせ 例)24×99、97×99
  • ⑧一の位の数字が9を含む数字の組み合わせ 例)24×39、47×59
  • ⑨どんな2桁でも適応できるゴースト暗算

さてここで質問ですが『91×99』はどうやって計算しますか?

使えるテクニックは②④⑦⑧⑨と多岐にわたります。こういう時どのテクニックに当てはめて使えばよいのか、きちんとルールを決めておくのが重要です。

「計算が簡単」「瞬時に使えるかどうかが分かる」という観点から優先順位をつけましょう。

『91×99』の場合、使うとしたら④または⑦が良いというのはわかると思います。

このように優先順位をつけてフローチャート化したのが以下の通り。

2桁×2桁暗算のフローチャート

  1. 「11」「99」が入っていないかチェック ・・・⑥⑦
  2. 十の位が「1」同士または「9」同士ではないかチェック ・・・①④
  3. 一の位の和が10になっていないかチェック⇒十の位が同じまたは1つ違いじゃないかチェック ・・・②⑤
  4. 十の位が同じ数かつ一の位の和が10じゃないかチェック ・・・②
  5. 一の位に9がないかチェック ・・・⑧

1つ目と2つ目、5つ目に関しては意識して確認するまでもなく瞬時に判断できると思うので、実際に意識してチェックするのは3つ目と4つ目についてです。

これらについても慣れればすぐに判断できるようになるでしょう。なので実際テクニックが使えるかどうか確認するのは数秒程度で十分だと思います。

どれにも当てはまらない場合はゴースト暗算などで解く必要がありますが、書くものがあるのであれば筆算で解いたほうが速いでしょう。

いずれにしても実際に頭を働かせてテクニック習得するのが大事です。

練習問題

では練習問題を用意したのでぜひチャレンジしてください。

中にはすぐに解けるようなテクニックは使えず、ゴースト暗算などを用いないといけないものも混ぜています。

ここでは瞬時にテクニックが使えるのか、使えるならどれを使うのが最適なのかを判断できるようになることに重きを置きましょう。

32×11

使えるテクニック:
3|3+2|2⇒352

16×14


使えるテクニック:①②
10(10+6+4)+4×6=224 ・・・①
10×20+4×6=224 ・・・②

31×21

使えるテクニック:⑨(ゴースト暗算)
31×21=651
これくらいなら頭の中で筆算をイメージすれば暗算できるでしょう。

34×46

使えるテクニック:
(40-6)(40+6)=1600-36=1564

18×81

使えるテクニック:⑨(ゴースト暗算)
18×81=1458

47×43

使えるテクニック:
40×50+7×3=2021

97×91

使えるテクニック:
100-(3+9)|3×9⇒8827

98×81

使えるテクニック:⑨(ゴースト暗算)
98×81=7398

19×17

使えるテクニック:①⑧
10×(10+9+7)+9×7=323 ・・・①
17×20-17=323 ・・・⑧

11×87

使えるテクニック:
8|8+7|7⇒957

76×74

使えるテクニック:
70×80+6×4=5624

83×23

使えるテクニック:
(8×2+3)×100+3×3=1909

23×47

使えるテクニック:⑨(ゴースト暗算)
23×47=1081

82×78

使えるテクニック:
(80+2)(80-2)=6400-4=6396

52×99

使えるテクニック:
5200-52=5148

92×99

使えるテクニック:④⑧
100-(8+1)|8×1⇒9108 ・・・④
9200-92=9108 ・・・⑧

41×29

使えるテクニック:
41×30-41=1230-41=1189

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