確率

「条件付き確率」の公式が感覚的に理解できる解説&練習問題

条件付き確率というと主に高校数学や大学の統計学の基礎として習う内容です。

新課程になってからセンター試験の数学IAでも出題されますが、しっかり本質を理解できていれば公式を覚えなくても大抵は問題は解けてしまいます。むしろ中途半端に公式頼みになると混乱する人が多いですね。

実はただ一つのことが理解できていれば公式なんて覚えずに済む内容なんです。

今回は条件付き確率の本質について分かりやすく解説していき、感覚的にどういったものなのか理解できるようにします。

条件付き確率の公式と意味

事象\(A\)が起きたという条件のもとで事象\(B\)が起きる確率を「Aを与えた時のBの条件確率」と言い、\(P(B \mid A ) \)や\(P_A(B) \)と書きます。

公式は以下の通り。

Aを与えた時のBの条件確率

\[ P(B \mid A ) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)} \]

これが何を意味しているのかよくわからない人も多いと思いますが、以下のように日本語にすると少し理解しやすくなります。

$$(Aを与えた時のBの条件確率)=\frac{(AかつBが起きる確率)}{(Aが起きる確率)}$$

さらにベン図を使って見ていきましょう。

事象\(A\)を基準とした時の\(A \cap B\)の確率が「\(A\)を与えた時の\(B\)の条件確率」というわけです。

そもそも\(B\)の確率というのは全事象\(U\)を基準とした時の\(B\)の確率と考えることができます。

\(P(B) =\dfrac{P(B) }{P(U) } \)

ここで基準が全事象\(U\)から事象\(A\)になったものが条件付き確率です。

一番重要なポイントなので繰り返します。

基準が全事象\(U\)から事象\(A\)になったものが条件付き確率です。

実はただこれだけのことなんです。長々と説明していますが、これさえ理解できれば後は他に重要な事はありません。公式も覚えるまでもなく自然と導出できますからね。

では事象\(A\)を仮の全事象\(U’\)と考えましょう。

そう考えると\(P(B) =\dfrac{P(B) }{P(U) } \)という式は\( P(B \mid A ) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)} \)となるイメージが掴めるのではないでしょうか。

分子の\(P(A \cap B)\)については、全事象\(U’\)の内\(B\)の事象が起きる確率と考えるとスッキリすると思います。

また\(P(B) =\dfrac{P(B) }{P(U) } \)についても「全事象\(U\)を与えた時の\(B\)の条件確率」と考えることもできますね。

\(P(B \mid A ) \)を書く際、\(B\)と\(A\)の順番は間違いやすいので要注意!

読み方はP B given Aピービーギブンエーなので、読みと意味を考えれば間違えることはないでしょう。書いたり読んだりするたびに心の中できちんと読みを唱えていれば自然と覚えると思います。

例題を用いた解説

ここまでの説明でもピンとこない人もいるかと思いますが、具体例を挙げると理解してもらえると思います。

例題

サイコロを1個投げた時、出た目の色は赤ではなく黒だというのがチラッと見えたので、「1以外の目」が出たのがわかった。この時、出た目が奇数になる確率を求めよ。

答えは条件付き確率を考えるまでもなく、\(\dfrac{2}{5} \)というのはすぐに分かるかもしれません。

単純にサイコロの目が奇数になるのは、\(1~6\)が出るという6通りの全事象のうち\(1,3,5\)のいずれかが出る3通りなので\(\dfrac{3}{6} = \dfrac{1}{2} \)です。

しかし\(1\)が出ないといのが分かっていれば、全事象は\(2~6\)が出ることで、そのうち奇数は\(3,5\)のどちらかが出る場合なので\(\dfrac{2}{5}\)。

確率の計算に慣れていれば直感的にすぐにこれが頭にイメージできると思いますが、この考え方自体条件付き確率の考え方と等しいというのに気づいたでしょうか?

実際に条件付き確率の公式に当てはめて解いていきましょう。

事象\(A\),\(B\)を以下のように定義してベン図で表します。

  • \(A\):サイコロの目は\(1\)以外
  • \(B\):サイコロの目は奇数

\( P(B \mid A ) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)}  = \dfrac{\frac{2}{6}}{\frac{5}{6}} = \dfrac{2}{5}\)

公式をそのまま覚えるのではなく、基準を全事象\(U\)から事象\(A\)に移して事象\(A\)に対する事象\(A \cap B \)の確率という意味を理解し、自然と式が導出できるようにしましょう。

条件付き確率を使わない場合でも、考え方は変わりません。全事象\(U\)内の事象\(B\)の確率を求めるのが通常の確率の計算です。これに対し、事象\(A\)内における事象\(B\)の確率を求めるのが条件付き確率なのです。

では実際に練習問題を通して理解を深めていきましょう。

条件付き確率の練習問題

まずはセンター試験で出題されるレベルの条件付き確率について見ていきましょう。

問題1(2018年センター試験 数学IA第3問)

ここから条件付き確率の問題を抽出して要約すると以下の通り。

問題

大小のサイコロを1個ずつ投げた時の出た目について以下のように定義する。

\(A\) :「大きいサイコロの目が\(4\)」
\(B\) :「サイコロの目の和が\(7\)」
\(C \):「サイコロの目の和が\(9\)」

\((1)\)事象\(A,B,C\) の確率はそれぞれ\(P(A) =\)□,\(P(B) =\)□,\(P(A) =\)□である。

\((2)\)事象\(C\) が起こったときの事象\(A\)が起こる条件付き確率は□であり、事象 \(A\)が起こった時の事象Cが起こる条件付き確率は□である。

\((1)\)については単なる確率の問題なのでざっくり済ませます。

それぞれの事象を数え上げて確率を求めます。事象\(A,B,C\)はそれぞれ\(6\)通り、\(6\)通り、\(4\)通りあるので、これらを全事象\(36\)通りで割ると以下のように答えが出ます。

\(P(A) =\dfrac{1}{6}\),\(P(B) =\dfrac{1}{6}\),\(P(A) =\dfrac{1}{9}\)

※事象\(A\)に関しては小さいサイコロを無視して大きいサイコロの全事象\(6\)通りのうち目が\(4\)になるのは\(1\)通りと考える方が楽です

条件確率の問題は\((2)\)のみですが、\((2)\)に関しても条件付き確率の知識、公式が頭になくても解くことができます。むしろ公式を使うほうが混乱しそうです。

この問題を書き換えると、「事象\(C\)(サイコロの和が9)のとき、事象\(A\)(大きなサイコロの目が4)になる確率は□」「事象\(A\)(大きなサイコロの目が4)のとき、事象\(C\)(サイコロの和が9)になる確率は□」となります。

事象\(C\)は4通りですが、そのうち大きなサイコロの目が4だとすると小さいサイコロは5しか考えられません。つまり4通りのうち1通りが事象\(A\)になるので\(\dfrac{1}{4}\)が最初の答え。

つづいて、大きなサイコロの目が\(4\)だとすると小さいサイコロの目は5のときに限って和が9になります。小さいサイコロの6通りの目のうちの1通りなので\(\dfrac{1}{6}\)が答えです。

では条件確率の公式を用いてこの問題を解いてみましょう。

これを解くときに必要なのが\((1)\)で求めたそれぞれの事象の確率に加えて、\(P(A \cap C)\)です。ベン図を書いたらすぐに分かると思いますが、\(P(A \cap C) = \dfrac{1}{36}\)です。

大きいサイコロの目を()の前、小さいサイコロの目を()の後ろとして表しており、\(A \cup C\)以外の事象は省略しています。

\( P(A \mid C )=\dfrac{P(A \cap C)}{P(C)} = \dfrac{\frac{1}{36}}{\frac{1}{9}} = \dfrac{1}{4}\)

\( P(C \mid A )=\dfrac{P(A \cap C)}{P(A)} = \dfrac{\frac{1}{36}}{\frac{1}{6}} = \dfrac{1}{6}\)

この公式を用いるときでもそれぞれ事象\(C\)を基準としたときの事象\(A \cap C\)の確率、事象\(A\)を基準としたときの事象\(A \cap C\)の確率ということを考えイメージしましょう。

問題2

基本的にセンター試験レベルの問題だと条件付き確率は公式を覚えていなくても感覚で解けてしまうので、確率の分野が得意な人ほど条件付き確率の有用性は理解しにくいものです。

しかし、以下のような問題だと公式を使わずに感覚で解くのは少し難しいので条件付き確率の重要性が分かるかと思います。

問題

ある年代において男女の人口の割合が男性40%、女性60%、独身率が男性50%、女性40%だった。この年代の人をひとりインタビューした時に独身だったとしたらこの人が男性である確率を求めよ。

  • \(A\):独身の人にインタビューする
  • \(B\):男性にインタビューする

こう定義すると求める確率は\( P(B \mid A ) \)です。

\( P(B \mid A ) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)} \)という公式に必要な情報を整理しましょう。

ベン図を書いたら必要な情報が見えてきます。

\(P(A)\)は全体の独身率、\(P(A \cap B)\)は全体に対する独身かつ男性の割合です。また全体の独身率は男性かつ独身の割合と女性かつ独身の割合を足したものになります。

\(P(A \cap B) =\dfrac{40}{100} \times \dfrac{50}{100} = \dfrac{20}{100} \)

女性かつ独身の割合は以下の通り。

\(P(A \cap \bar{B}) = \dfrac{60}{100} \times \dfrac{40}{100} = \dfrac{24}{100} \)

これより全体に対する独身率はこのようになります。

\(P(A) = P(A \cap B) +P(A \cap \bar{B}) = \dfrac{20}{100} + \dfrac{24}{100} = \dfrac{44}{100} \)

以上の情報を公式に当てはめましょう。

\( P(B \mid A ) = \dfrac{P(A \cap B)}{P(A)} = \dfrac{\frac{20}{100}}{\frac{44}{100}} = \dfrac{5}{11} \)

答えは\(\dfrac{5}{11}\)となります。

これに関しても結局問われているのは「独身の人の内の男性の割合」なので、問題の本質を理解していれば条件付き確率の知識は必要ないかもしれませんね。

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