中学2年では三角形の内角や外角の性質を利用して、図形の角度を求める問題がよく出題されます。
そこで重要になるのが「どんな三角形でも内角の和は常に180°」という性質です。これ自体は小学校の頃に習ったことですが、きちんとした理由はまだ教わっていませんでした。
しかし前回解説した「錯角」を用いることで証明できるようになったので、今回これを証明していきます。
三角形の内角の和(小学校の復習)
三角形の内角の和が180°ということは小学校の頃に習いましたが、どのように教わっていたかを少しだけ復習しましょう。
小学校の頃は下のように同じ図形を用意したりして、実際に180°になるということを確かめたと思います。
しかしこれだけでは、「必ずどんな三角形でも内角が180°になる」ということの証明にはなりません。
ただ実は、この図形と錯角・同位角の知識を利用したら、三角形の内角の和が180°になることをきちんと証明することができるのです。
内角の和が180°になる証明
まず証明の簡単な概要について説明します。
図のように三角形の1辺を延長し、さらに1辺と平行な線を引きます。
平行線の錯角・同位角が等しいことから、三角形の内角と等しい角度が外角にできます。内角の和と等しい角度が1直線に並ぶため180°と等しいことがわかりました。
以上をきちんと証明するには以下のようになります。
三角形の内角の和が180°になることの証明
三角形ABCの内角をそれぞれ∠a、∠b、∠cとおく。
辺BCを点C側に延長して線分CEをひき、点Cから辺BAに平行な線分CEをひく。
そして∠ACE=∠a’、∠ECD=∠b’とおく。
平行線の錯角は等しいので、
∠a=∠a’・・・①
平行線の同位角は等しいので
∠b=∠b’・・・②
角度の和が直線となっているため、
∠c+∠a’+∠b’=180°・・・③
①②③より、∠a+∠b+∠c=180°
よって三角形の内角の和は180°となる。
また、外角の重要な性質に「三角形の外角はその角のとなりにない、他の2つの内角の和と等しい」というものがあります。
言葉にすると分かりにくいですが、つまり∠cの外角が∠a+∠bとなるということです。
これは今回の証明と同じように補助線を引くことで証明できます。
このことは一緒に抑えておきましょう。
ちなみに三角形の内角の和は他にも証明する方法があります。
点Aを通り辺BCと平行な線分を引くと、錯角より∠b、∠cと等しい角度が∠aの左右にでき、これらの和が180°となります。よって∠a+∠b+∠c=180°です。
このように図形の問題は色々な考え方があります。教えられた方法をただ丸暗記するのではなく、自分自身で考えていきましょう。