前回、相似な三角形について解説しました。
相似な図形は「各辺の比がそれぞれ等しくなる」という性質がありますが、これを利用して簡単に平行線に関する比を計算することができます。
正式な名称ではありませんが、一般的に「平行線と線分の比の定理」と言うことが多いです。
今回、平行線と線分の比の定理を分かりやすく図解し、さらにこれを用いて問題を解いていきましょう。
平行線と線分の比の定理とは?
三角形における平行線と線分の比
下図のような三角形において、DE//BCのとき、以下のような比が成り立ちます。
これは△ADE∽△ABCで、それぞれの対応する辺の比が等しくなるためです。
ちなみに2つの三角形が相似になるのは、平行線の同位角が等しいことから、∠ADE=∠ABC、∠AED=∠ACBとなり、相似条件の「2組の角がそれぞれ等しい」を満たすためです。
さらにこの比より、以下の比が成り立ちます。
3本の平行線と交わる2本の線分の比
下図のように3本の直線\(l,m,n\)と、2つの直線が交わる場合において、\(l//m//n\)なら以下の比が成り立ちます。
これは、以下のように直線を平行移動させると、三角形になり、先程の形と同様になるからです。
平行線と線分の比の問題
では実際に問題を解いてみましょう。
問題1
下の図において、DE//ECのときAB、ECの長さをそれぞれ求めよ。
AB=\(xcm\),EC=\(ycm\)とおきます。
DE//ECなので、
AD:AB=DE:BC
\(5:x=4:8\)
\(4x=5\times 8\)
\(4x=40\)
\(x=10\)
また、DB=\(10-5=5\)
AD:DB=AE:EC
\(5:5=6:y\)
\(y=6\)
よって、\(AB=10cm,EC=6cm\)
問題2
下の図において\(l//m//n\)のとき、EFの長さを求めよ。
EF=\(xcm\)とおきます。
\(l//m//n\)より、
AB:BC=DE:EF
\(4:6=6:x\)
\(4x=6\times 6\)
\(4x=36\)
\(x=9\)
よって\(EF=9cm\)
問題3
下の図において\(l//m//n\)のとき、ECの長さを求めよ。
斜めの線が交わっているので分かりにくいですが、片方を横に平行移動させて交わらないようにすれば、問題2と同じ形になります。
EC=\(xcm\)とおきます。
\(l//m//n\)より、
AB:BC=DE:EF
\(2:10-2=3:x\)
\(2x=8\times 3\)
\(2x=24\)
\(x=12\)
よって\(EC=12cm\)